『測量の種類』売買、相続、建築時の現況測量・確定測量について解説

測量が必要といわれたけど、測量の種類ってどんなものがあるのだろう。

相続や売買、建築など様々な目的で必要となる測量の種類はどのようなものがあるのかとお調べの方も多いと思います。

測量は大きく分けると、公共測量と民間の測量とに大分類できますが
国や県、市区町村が発注する公共測量や、建設会社などが発注する土木工事のための測量などは一般の方には馴染みのないあまり生活に影響のない分野の測量かと思います。

本記事では、日々の暮らしの中で関係してくる測量の中でも、売買・相続・建築に焦点を絞り
この目的に関係する測量の種類を分かりやすく解説します。

また、新しい測量として『予防測量』について解説します。何が起きてもすぐに動き出せるよう事前に測量を行う必要性を解説します。

本記事を通して「確定測量」、「現況測量」等、それぞれの測量は何が違うのか、測量によりどんなメリットがあるのか
現場での実務経験を踏まえて、土地家屋調査士がその違いについて解説します。

1 測量の種類

測量の種類は目的によって様々ですが、大きく分けると公共測量とそれ以外の主に民間での測量です。

その中でも、土地をお持ちの方が日常生活で接する機会が多いのが「確定測量」と「現況測量」の2つになります。

売買・相続・建築の場面では、この2つの測量を理解しておけば大丈夫です。

「確定測量」「現況測量」、不動産屋さんやハウスメーカーの方との話の中で耳にしたこともあるのではないでしょうか。
そして、これらの測量を事前に生前に早めに着手しておこうというものが『生前測量』になります。

※公共測量は国等からの依頼による測量ですので下記を参照してください。
国土地理院HP参照
https://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/tetuzuki/index1.htm

土地は生涯の財産であり、それはなくなることなく、後世に引き継がれていくものです。
土地をお持ちの方は、その所有範囲がどこまでなのか、などの不安を感じることがあると思います。

こんなことありませんか?

「測量したのは大昔、測量した記憶がない」
「隣の木がブロック塀を越えて伸びてきている」
「土地の管理をしておらず状況だけでも知りたい」

「相続税申告の際に税理士から地積測量図がないと言われた」
「子供に贈与を考えていて、所有している土地の範囲を明確にしたい」

その不安を払拭できる方法の一つが測量であり、我々土地家屋調査士も「確定測量」「現況測量」を行っています。
この2種類の測量の違いは次の通りです。

それぞれ違いはありますが、目的によって使い分けることでいずれも土地を守るために役立ちます。
次の2、3ではその具体的な違いと何故違いがあるのか見て行きましょう。

そして、これらの測量を事前にしっかり行っておこうというものを『予防測量』といいます。

現況測量の中でも、建築や売買の際に必要となる、高低測量真北測量なども行っています。

 

確定測量についての詳しい解説は、下記の記事も参考にしてみてください。

確定測量とは?なぜ必要なのかについて土地家屋調査士が徹底解説

土地家屋調査士法人えんが行う「境界確定」を土地家屋調査士が解説!

現況測量についての詳しい解説は、下記の記事も参考にしてみてください。

【境界の専門家が解説】現況測量とは?土地の現況を知るための第一歩

「現況測量」なら土地家屋調査士法人えんが行う現況測量パック

予防測量についての詳しい解説は、下記の記事も参考にしてみてください。

【予防測量】皆さんの大切な土地を安心・安全な価値にするために!

2 確定測量

確定測量とは、土地の分筆や売買などの際に必要となる測量で、隣接土地所有者の立会承諾を経て土地の境界が座標値を持って特定される測量です。

確定測量についてもう少し詳しくみていきましょう。

2-1 確定測量とは

1つ目の「確定測量」は、読んで字のごとく土地の筆界(ひっかい、ふでかい:元々ある境界のこと)を確定させるための測量です。

一般的に確定させるという表現をとりますが、

筆界とは明治時代の地租改正時に定められたものや
その後の分筆などを経て形成されたもので
元々あるもので国が管理(登記)している境界線であり、
隣接土地所有者との合意によって形成されるものではないという概念があります。

2-2 費用・期間

その作業内容は多くなり、期間は長く、また費用も決して安くはありません。

確定測量の一般的な期間・費用感は以下のようになっています。

また、境確定測量の費用は、大きく分けると以下の5つで決まります。

しかし、この「確定測量」に基づき作成される図面は第三者に対する土地の所有範囲の証明書になり、土地の価値増加に寄与すると考えられます。

また、一定の登記を行う際に必要となる重要な測量でもあります。

2-3 確定測量の流れ

では、「確定測量」の具体的な内容とその流れについて見て行きましょう。フローチャートにすると次のようになります。

かなり作業内容が多いですが、どれも土地の筆界を確定させるためには重要な内容です。

作業内容を一つずつ見て行きましょう。

① 資料調査
まずは依頼内容の確認など打ち合わせを行います。また、隣地を含め、登記情報、地図、地積測量図、道路図面などの収集を行います。

② 測量、計算
地図・登記情報などを元に、隣地所有者へ測量の内容・今後の流れについて説明します。この挨拶は、隣地所有者に境界確認の立会を頂くため、土地の測量と同じくらい重要です。
また、隣地所有者とお会いできない(遠方に住まわれている、相続があり空き家になっているなど)場合があります。この場合は、手紙でのやり取り、戸籍調査等による相続人確認が必要となり、隣地所有者と連絡が取れるまでお時間を頂くことがあります。
収集した地積測量図や道路図面を元に土地、道路に面した境界標(土地の境い目の角に設置された目印 以下、境界標)を探します。探しても見つからない場合は、隣地所有者に説明し、隣地側から確認を行うこともあります。
これらの確認を踏まえ、対象の土地の境界標、また一定区画の道路に面した境界標の測量を行える最小限の場所を選点し、そこに機械(TS)を設置し測量を行います。この測量データを持ち帰り、隣地所有者との境界確認の立会のための図面を作成します。図面作成の際には、収集した地積測量図や道路図面と重ね合わせを行い、整合性の確認も行います。

③ 仮のポイントの設置、境界(筆界)立会い、境界標設置
隣地所有者と境界確認の立会の日程調整を行います。当日は既存の境界標や図面に基づく計算点に記したペンキや鋲を実際に見てもらいながら、対象土地の所有範囲と隣地との関係についてご説明します。また、ご説明の後にペンキや鋲の位置に境界標の設置を行います。

④ 筆界確認書の取交し
境界確認の立会を踏まえて、最終的な図面(土地家屋調査士法人えんでは確定図と呼びます)と隣地所有者との取交し用の筆界確認書を作成します。筆界確認書には、境界(土地の境い目 以下、境界)が分かりやすいよう朱書きした図面(弊社では土地境界図と呼びます)を添付し、控えをお渡しする際には保存用に境界標の写真帳もご用意しています。この筆界確認書に対象土地所有者、隣地所有者の双方のご署名・ご捺印を頂き、合意の取交しを行います。

確定図

⑤ 確定測量の完成(=成果納品)
「確定測量」の成果は、現地案内図、地図、確定図、筆界確認書、道路証明書、境界標写真など、対象土地の所有範囲を証明する資料で構成されています。「確定測量」の作業完了時にファイル(弊社では測量成果簿と呼びます)に整えてお渡しします。

このように、「確定測量」はその作業内容が多く、測量・調査の期間は長くなり、また費用も決して安くはありません。しかし、「確定測量」を行うことで、土地の所有範囲は明確になり、安心して将来の売買や相続に備えることが出来ます。

ご参考までに、下記の登記には「確定測量」に基づき作成を行う地積測量図「確定測量」で取交しを行った筆界確認書が必要となります。このように一般に公示される登記にも、「確定測量」が関わって来ますので、このことからも「確定測量」の信頼性の高さを伺い知ることが出来るかと思います。

土地分筆登記
1つの土地を複数に分ける(分筆と言います)登記です。相続により土地を複数の相続人に分ける場合などに必要な登記になります。

土地分筆登記については、下記の記事も参照してください。
分筆とは?安全確実な登記方法について土地家屋調査士が徹底解説!
相続した土地を売却するのに急ぎで実施すべきこと「確定測量・分筆」

土地地積更正登記
登記上の土地の面積が誤っており、正しく直すための登記です。昔の測量は今に比べ精度が高くないため、土地の面積が誤っていることがあります。

土地地積更正登記については、下記の記事も参照してください。
土地地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!
地積更正登記のメリットとデメリットは何か?土地家屋調査士が解説!

3 現況測量

3-1 現況測量とは

2つ目の「現況測量」は、こちらも読んで字のごとく土地の現況を把握するための測量です。

3-2 費用・期間

「確定測量」に比べ、作業内容は少ないため、測量・調査の期間は短く、また費用も安く抑えることが出来ます。

現況測量の一般的な期間・費用感は以下のようになっています。

この違いの理由は「確定測量」と異なり、「現況測量」は必要最小限の調査に基づく測量であり、また隣地所有者との境界確認の立会がないことです。
一方で、必要最小限とは言え、現況の土地の大きさ・形状を把握することが出来ますし、依頼内容によっては隣地からの建物や植栽の一部が越境していないかを確認することも出来ます。また、相続税申告の際には、土地の形状による財産評価額の補正が必要となる場合があり、「現況測量」によりその信憑性が上がることも期待出来ます。

3-3 現況測量の流れ

では、「現況測量」の具体的な内容とその流れについて見て行きましょう。フローチャートにすると次のようになります。「確定測量」と比較して作業内容が必要最小限に絞られています。あくまで目的は土地の現況把握だからです。

作業内容を一つずつ見て行きましょう。
① 資料調査
まずは依頼内容の確認など打ち合わせを行います。また、隣地を含め、登記情報、地図、地積測量図などの収集を行います。
② 測量、計算
収集した地積測量図などをもとに境界標(土地の境い目の角に設置された目印 以下、境界標)を探します。また、ブロック塀や越境物の有無を確認します。これらの確認を踏まえ、対象の土地の境界標、ブロック塀の角や越境物の測量を行える最小限の場所を選点し、そこに機械(TS)を設置し測量を行います。測量データを持ち帰り、ブロック塀や越境物の位置関係、また境界標から想定される土地の大きさ・形状を示した図面を作成します。

現況測量図

③ 成果納品
現況測量図が成果となります。現況ベースではあるものの、土地の大きさ・形状、またブロック塀や越境物の位置関係を把握することが出来ます。

このように、「現況測量」は「確定測量」に比べ、作業内容が少ないため、測量・調査の期間は短くなり、費用を抑えることが出来ます。現況の土地の大きさ・形状等を短期間で把握出来ることが「現況測量」のメリットです。

3-4 高低測量

高低測量とは、基準となる地点をゼロとして、所有者様の土地と隣接する土地、道路の高低差を測量するものです。所有者様の土地と隣接土地とで地面の高さが異なる場合、坂道に面した土地など、所有者様の土地の近辺でどのくらいの高低差があるか確認のために測量を行います。この測量は、売却時に搬出入する土砂の量の概算把握や傾斜面の不動産価値を算定する目的で利用され、また前述のがけ地補正を算定するためにも有効と考えます。

3-5 真北測量

真北(しんぼく)測量とは、真北(しんぼく、しんぽく、まきた)がどの方向にあるか確認をするために行います。

コンパス(磁北)でも北の方角は確認することが出来ますが、実際の真北とは差異が生じることがあります。
(⇒ 近くの車などの鉄に引っ張られることもあります)

機械(TS)を用いて太陽に示準を合わせ、太陽の位置関係とその時間により真北の方向の算定を行います。

この測量は、建物を建てる際の日当たり(北側斜線等)の確認で利用されます。

真北測量についての詳しい解説は、下記の記事も参照してください。
真北測量とは?境界の専門家の土地家屋調査士がわかりやすく解説!

3-6 ドローン測量

ドローン測量は今までの方法では実現し得なかったスピードで測量を完了できる画期的な測量方法です。
ドローンは測量だけでなく空撮、物流サービス、屋根等の点検にも利用されていますが、ドローン測量では
広範囲の現況面積を把握するのに役立ちます。

何万平米といった、牧場、養豚場、田畑、産業廃棄物処理施設などなど
広範囲の面積の概要を把握するのに利用されます。

ドローン測量についての詳しい解説は、下記の記事も参照してください。
ドローン操縦の免許を持つ土地家屋調査士が解説!ドローン測量とは

3-7 GNSS測量

GNSS測量は複数のGNSS衛星からの電波信号を受信した時間差を利用するなどして位置を特定する測量です。

測位する方法はいくつかありますが、日本に設置されている電子基準点と各国が打ち上げている衛星を利用しリアルタイムに座標位置を特定できるものもあります。

土地の分筆登記や地積更正登記を行う場合などを基準点測量で採用すべきとされているものは
既存の基準点の検査をしたうえで、利用すれば、世界測地系で登記ができます。

世界測地系で登記をしておけば、いざ大災害等であたり一面が焼け野原になったり、津波や洪水で流されたりして道路から建物から全てなくなったとしても、再度、GNSS測量機を現地付近へ持っていけば土地の位置を正確に復元できることになります。

GNSS測量についての詳しい解説は、下記の記事も参照してください。
GNSS測量を専門家が徹底解説!世界測地系で安心安全な土地へ

4 予防測量

予防測量とは必要に迫られてから測量を行うのではなく、自分の財産をしっかり保全する目的で事前に測量をしておこうというものです。

弊所土地家屋調査士法人えんが考えた言葉で、予防医療、予防歯科と同じように、売却・相続後に兄弟姉妹で分ける分割など必要に迫られてから測量を行うのではなく、何かあった時にすぐに動き出せるよう事前に測量をしておこうというものです。

我々土地家屋調査士は、土地境界確定を業として行っていますが、依頼されるほとんどが必要に迫られてです。

もちろん必要に迫られてから依頼を受けても業務を行う事は可能ですが、例えば相続なので相続税を支払うために土地を売却する場合などは納税の猶予期間が10カ月しかなく、その期間内に境界の確定をすることができない場合もあり得ます

期限に追われて測量をするのではなく、あらかじめ準備しておくことが大切です。

予防測量についての詳しい解説は、下記の記事も参照してください。
【予防測量】皆さんの大切な土地を安心・安全な価値にするために!

5 まとめ


今回は、土地をお持ちの方に身近な「確定測量」と「現況測量」の2つの測量の内容について書き出してみました。
「確定測量」は土地の所有範囲を確定するもの、「現況測量」は土地の現況の大きさ・形状を把握するもの、と性格の異なるものですが、目的に合わせて使い分ければ、どちらも土地を守るべく有効に機能します。

また、これらの測量を事前にしっかり行っておく『予防測量』の大切さを確認しましょう。

まだまだ、事前に測量を行っておこうという考えは、日本には浸透していません。
しかし、いざ、売買をする、建物を建築する、相続で土地を分けるとなると、現況測量・確定測量が必要になります。
その段階になって、隣地がスムーズに協力してくれるかどうかはわかりません。

土地をお持ちの皆様が、本記事を適切な測量の種類を選ぶ判断基準の一つとしていただき、安心安全な土地になれば幸いです。

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