相続した土地を売却するのに急ぎで実施すべきこと「確定測量・分筆」

 

「相続した土地を売却する」と決めたときに急ぎで実施すべきことは何か?

・不動産業者の提案を聞く
・兄弟で売却方法を話し合う
・税理士に売却関連の税金相談をする
・諸費用を引いた手残り額を計算

どれも土地の所有者として重要な課題ですが、「相続した土地を売却する」と決めたときに急ぎで実施すべきこと
それは、お隣さんとの確定測量や分筆です。

なぜ確定測量が必要になるかというと、売却する際は、売却する範囲を明確にして買主に引き渡すことが多いからです。
分筆は一部を売却する時や兄弟で分ける時には必ず必要ですが、分筆するにも前提として確定測量が完了している必要があります。

相続した土地を売却するにあたり、売った方も、買った方も、具体的にどの範囲を売ったのか、どの範囲を買ったのかが分からなければ、引渡し完了後に境界トラブルになることがあります。
このようなトラブルが発生しうるということを知っている不動産業者が土地を買う時は、ほとんど確定測量がされた土地を購入します。確定測量が完了していることという売買条件にしていることが多いです。

土地の売却をするにあたり、確定測量が完了していると交渉が有利に進む可能性もあります。買う側の立場に立ってみるとわかりますが、境界線がはっきりしている土地とはっきりしていない土地とでは、はっきりしている土地の方が安心だからですね。

確定測量ではお隣さんに協力をしていただく必要があります。
また協力してもらえなかったら「土地が売れなくなってしまうのか」、「相続税が支払えるのか」などの不安もよぎると思います。
単に現金にして分けるだけ、相続税なんて関係ない、安くても売れれば良いということであれば、あまり大きな問題にはならないかもしれませんが、「相続税の納税」が目的であれば確実に現金化する必要がありますし、特に期間については非常に重要です。

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
国税庁のWEBサイト : No.4205 相続税の申告と納税 より引用

境界確定測量や分筆は一般的には「土地家屋調査士」に依頼をしますが、非常に時間がかかるうえ、お隣さんとの境界確認やハンコをもらう必要があるなど、不確定要素が多くあり、早め早めに依頼をかけることが非常に重要です。

相続税の申告期限である10か月はあっという間にやってきます。依頼が一か月遅れてしまえば、間に合わない可能性があるということです。

本記事では、確定測量・分筆とその必要な場面について、詳しく解説します。

相続した土地の売却に絡んだ仕事を何度も経験している土地家屋調査士が、このようなケースでは早めに確定測量・分筆の依頼をしておいた方が良いというポイントについて実経験を踏まえ解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

1 相続した土地を売却するのに急ぎで実施すべきこと

相続した土地を売却するのに急ぎでまず実施すべきことは二つあります。
一つは確定測量、もう一つは一部売却などで必要になる分筆です。

確定測量はお隣さんの協力が必要になるため、場合によっては数か月もの時間がかかります。分筆は確定測量が完了していればそれほど時間はかかりません。

それぞれについて、簡単に説明します。

1-1 確定測量で抑えるべき5つのポイント

「確定測量」は、土地の境界(筆界)、面積をはっきりさせる測量であり、どの範囲を売却するのかを明確にするものです。
また、土地の一部を売却したときなど土地を分ける分筆登記には必ず必要な測量です。

売買などでも確定測量が条件となることがあります。

確定測量にはお隣さんの協力が必要です。
現地での境界立会、境界線についての承諾と、それを担保するための筆界確認書への署名捺印が必要です。

筆界確認書についての詳しい記事はこちらをご確認ください。
専門家が解説!筆界確認書に署名・押印することの意味

法務局(国)に登記されている土地の面積は、正しい面積だと思われがちですが、正しい面積とは言えないことがあります。
最近開発されたような新興住宅地であれば、大きな面積のズレはないですが、古くから相続してきたような土地は、明治時代の縄で測った頃の面積がそのまま使われているからズレていることが多いのです。

確定測量はこのようにズレている登記面積ではなく、現在の測量精度で測った正しい面積を確定させる測量になります。

確定測量に係る期間ですが早くても2~3か月、状況によっては、数か月から年単位でかかることもあります。

確定測量の費用は一般的な200㎡前後の土地の場合の費用の一例で、金額は約80万~100万前後~となりますが、面積が500㎡~何千㎡にもおよぶような土地では、100万円代~数百万になることもあります。

公簿売買で、安くてもそのまま業者買取でいいよというなら、確定測量は不要かもしれませんが、時間的余裕が取れるなら、確定測量を実施し少しでも高く売却できるよう検討されたほうがよいでしょう。

(確定測量のポイントまとめ)

1-2 分筆で抑えるべき5つのポイント

分筆(ぶんぴつ)とは一筆(ひとふで、いっぴつ)として法務局(登記所)に登記されている土地を、2個以上の土地に分ける登記手続きを行い、土地を分割することをいいます。

分筆をするには事前に確定測量が必要です。

 不動産登記法という法律にいろいろとルールが書かれており、そのルールに従って手続きを進めていけば分筆をすることができます。

 その手続きは土地分筆登記という名称で、不動産を管轄する法務局へ申請することにより分筆ができます。

どのように分割するのかを決めることが重要です。
分け方がすぐに決まれば良いですが、土地の価値を比べたりして、色々と意見が出るあまり、なかなか決まらないということが多いです。確定測量を実施している段階から検討し、どのように分けるかを早急に確定させていきましょう。

分筆の費用だけは、分け方にもよりますが、専門家である土地家屋調査士へ依頼する場合で10数万~20数万程度です。
土地家屋調査士の費用は、分筆の数、状況により変動します。

分筆の期間は、法務局の込み具合にもよりますが申請してから1~2週間程度です。

分筆についての詳しい記事は下記も参考にしてください。

分筆とは?安全確実な登記方法について土地家屋調査士が徹底解説!

土地を分筆する費用はいくらかかるの?土地家屋調査士が事例付で解説

土地家屋調査士が考える『分筆ができない困った土地』の対処法とは?

(分筆のポイントまとめ)

2 相続した土地を売却するのに確定測量が必要な場面


相続した土地を売却するのに確定測量が必要な場面としては、買主より契約条件となる場合がほとんどです。主に広い土地で一般の方が買えないような相続土地などです。
また、境界が明確でなく、土地の面積が登記簿の面積より大きくずれている場合にも確定測量を実施することがあります。
それぞれのパターンを事例とともに解説いたします。

2-1 確定測量が売買契約の条件となった

買主の希望で確定測量が売買契約の条件となる場合があります。
どの範囲を購入するのかを買主は明確にしてもらいたいからです。
買主が不動産業者である場合は、確定測量を条件にされることがほとんどです。確定測量が条件でない場合は、その分売買金額が安くなったりします。

(事例)
買主業者 A社 買主はこの土地を購入後3棟の建売住宅を建築することを目的としてこの土地の仕入れをしようと考えていた。融資を受けてこの土地を購入するため、土地の境界トラブルなどで分筆が出来ないとう事態が生じてしまうと事業計画に支障が出ることから、A社は〇〇年〇〇月○○日までに確定測量を完了し資格者が作成する確定測量図を交付することを売買条件とし、交付出来ない場合には白紙で契約を解除できる内容の契約を締結した。売主は確定測量を土地家屋調査士へ発注した。

(事例解説)
一般の方が手を出せないような広い土地は業者が仕入れ、分筆し建売住宅を建設し再販売をかけるということがあります。
このような戸建分譲事業を成立させるにあたり、確定測量が売買条件になることがほとんどです。

(事例)
相続で受け継いだ農地が5000㎡を超え、相続税額も億単位であることから、相続した土地の内、2000㎡を売却することにした。複数社の入札を実施したところ、買主業者 B社が最も高い指値であったことから、B社へ売却することとした。B社はこの土地に道路を新設し、開発許可を得て、10数棟の宅地開発 買主はこの土地を購入後3棟の建売住宅を建築することを目的としてこの土地の仕入れをしようと考えていた。融資を受けてこの土地を購入するため、土地の境界トラブルなどで分筆が出来ないとう事態が生じてしまうと事業計画に支障が出ることから、A社は〇〇年〇〇月○○日までに確定測量を完了し資格者が作成する確定測量図を交付することを売買条件とし、交付出来ない場合には白紙で契約を解除できる内容の契約を締結した。売主は確定測量を土地家屋調査士へ発注した。

(事例解説)
500㎡を超えるような広大地は、都市計画法の開発許可などが必要になる場合があります。また農地の場合は、生産緑地指定されている土地であれば、その解除が必要になるなど、引渡しまでに数か月~1年程度の期間を要する場合があります。相続発生前に出来る限り測量を進めておくほうがスムーズでしょう。相続税支払いのために物納するという方法もありますが、物納する場合でも確定測量が必要になります。

2-2 境界が明確でない

売買契約の条件にならずとも、境界が明確でない場合には確定測量を実施してから、買主に引き渡すことがあります。
特にフェンスやブロック塀が無い土地、近隣と折り合いが悪く境界トラブルを抱えている土地、坪単価が高額な土地などは境界を明確にしてから売却しないと後日トラブルになる場合があります。
高額な土地に至っては、登記簿の面積より実際の面積の方が広いのに登記簿の面積で売却してしまえば、損をすることにもなります。

境界が明確でない土地は確定測量を検討しましょう。

(事例)
港区赤坂の土地を相続で受け継いだ土地を売却することにしたが、公簿売買として実測は行わず引き渡した。買主側で所有権移転後に実測を行ったところ10坪も土地が広いことが分かった。

(事例解説)
地価の高い土地を売買する時は、一般ユーザーへの売却であっても、公簿で売買せず、実測してからの売買が多く見受けられます。境界紛争が後日起こらないとも限らず、どの範囲を売ったのかが明確でない場合は、売主に契約不適合責任が生じる可能性もありますので、確定測量をしてからの売買が望ましいです。確定測量は時間がかかるので、売却する前に早めに土地家屋調査士へ依頼をするのが良いでしょう。

3 相続した土地を売却するのに分筆が必要な場面


相続した土地を売却するのに分筆が必要な場面は、兄弟で分ける時や土地の一部を売却する場面、土地の一部に建築する場面です。

それぞれ簡単に解説します。

3-1 兄弟で相続した

土地を兄弟姉妹で相続した場面では、それぞれ相続した土地をどうしたいのか考えがあると思います。一括して全体を売却するなら分筆は必要ありませんが、それぞれの活用方法が違う場合は現物分割として分筆をします。

現物分割の手法については下記の記事を参考にしてください。
相続土地を兄弟姉妹で分割する具体的手法を解説【測量・分筆登記編】

兄は賃貸用居宅、弟は自宅として利用し続けたいなど、それぞれの目的に応じて分ける時は分筆が必要です。長らく、共有状態が続き、この共有状態を解消するにはまず、分筆がひつようになります。

(事例)
東京都杉並区、実家の建物とアパートが建築されている300㎡ほどの土地を相続したが、長男はアパート側、長女は実家側を相続するという方向で話し合いがなされ分筆が必要になった。税理士や不動産鑑定士などへ相談し、相続割合に応じた面積を算出してもらい、その面積比での分筆を土地家屋調査士に依頼した。

(事例解説)
どのように分けるかについて疑義がある場合は、税理士・不動産鑑定士に相談するなどして割合を決定した方がよいでしょう。角地や前面道路の状況、間口の問題などで一般的に価値は変動することがありますので、価格を決定できる専門家へ相談の上、土地家屋調査士へ分け方を依頼することを検討してみてください。確定測量は時間がかかるので、売却する前に早めに土地家屋調査士へ依頼をするのが良いでしょう。

3-2 一部を売却したい

長男が土地全体を相続したものの、妹の取り分として現金を渡す場合など、土地の一部を売却することもあると思います。
土地の一部を売却するには、必ず分筆が必要です。

(事例)
東京都杉並区、実家の建物とアパートが建築されている300㎡ほどの土地を相続したが、長男はアパート側、長女は実家側を相続するという方向で話し合いがなされ分筆が必要になった。税理士や不動産鑑定士などへ相談し、相続割合に応じた面積を算出してもらい、その面積比での分筆を土地家屋調査士に依頼した。

(事例解説)
どのように分けるかについて疑義がある場合は、税理士・不動産鑑定士に相談するなどして割合を決定した方がよいでしょう。角地や前面道路の状況、間口の問題などで一般的に価値は変動することがありますので、価格を決定できる専門家へ相談の上、土地家屋調査士へ分け方を依頼することを検討してみてください。確定測量は時間がかかるので、売却する前に早めに土地家屋調査士へ依頼をするのが良いでしょう。

3-3 一部に建物を建築したい

相続を機に、実家に戻り庭先に建物を建築する場合もあると思います。建築の際は必ずしも分筆は必要ありませんが、住宅ローンなどを利用する際に、必要になる場合があります。土地の所有者が相続した母名義、建築主が実家に戻った長男などになる場合は、分筆して土地と建物の名義を一致させた方が良いケースもあるでしょう。

(事例)
横浜市港北区、相続をきっかけに実家の庭先に建物を建築することにした。父から土地を相続したとはいえ、母もまだ健在であることから近くに住むことになった。建築資金の融資を受けるにあたり建築敷地の一部を分筆してその土地に抵当権が設定されることになった。確定測量がまだ終わっていなかったので、確定測量及び分筆登記を土地家屋調査士へ依頼した。

(事例解説)
自宅の一部へ建物を建築する際は、全額自己資金であれば、設計分割のみ行い、特に分筆までは必ずしも必要ではありません。融資を利用する場合では、ほとんどのケースで分筆を求められることがあります。金融機関としても、建築敷地が明確になっており、土地と建物をセットで明確に担保にとりたいからです。土地の境界がはっきりしていない場合や隣接土地所有者から境界確認の協力が得られない場合、分筆に支障が出て、建築計画がとん挫する可能性も考えられます。確定測量は時間もかかりますので早めに土地家屋調査士へ相談することが重要です。

4 まとめ


相続税や売却価格、売却の手続き、不動産業者の選定などなど、これらを考えることはもちろん重要なのですが、境界問題を後回しにしてしまうと様々な弊害が起こってしまう可能性があります。

確定測量や分筆が必要な場面は概ね以下の通り

境界確定・分筆のポイントは隣地との関係性が重要という比較的わかりやすいものです。
隣地との関係性が良ければスムーズに行き、お隣と折り合いが悪かったり、問題がある場合などは時間がかかる性質のものです。

自分が相続した土地がどのような土地なのか、直ちには判別がつかないと思いますが、土地境界のプロである土地家屋調査士へ依頼し隣地へあたってみれば、問題がある土地なのかスムーズに行きそうなのか、状況はすぐに分かります。

お隣さんにも相続が発生し、相続手続きがまとまっておらず境界の確認をしてもらえないかもしれません。
時間だけはどうにも出来ないうえ、お隣さんを急がせることになると怒らせ協力を得られないことも考えられます。

相続した土地を売却するということは、一生に一度の経験かもしれません。

是非、境界確認の重要性・境界確認には時間がかかるため早めの対処が重要であることを認識し、安心安全な相続土地の売却につなげていきましょう。

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