中古住宅を購入するときに押さえたいのが境界!注意点を土地家屋調査士が解説!

中古住宅の購入を考えているが、注意点は何なのか?

これが、知りたくて検索またはブックマークされたのではないでしょうか?

「中古住宅・購入」や「中古住宅・注意点」等のキーワードで検索すると不動産屋さんのサイトが上位に表示されます。

購入にあたっての注意点はこのようなサイトを閲覧されてアドバイスをいただいた方がいいと思います。

この記事は、境界の専門家である土地家屋調査士の目線で中古住宅を購入するときの注意点を解説しています。

土地家屋調査士という資格は知らない方が多いかもしれませんが、
土地家屋調査士は、法務省管轄の資格で、土地の測量・登記、建物の調査・登記を業としています。
土地家屋調査士法1条では、「土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。」と規定されています。

中古住宅を購入しようとする方の多くは、家の間取やリノベーションに興味を持つのは当然だと思います。

しかし、重要なことは、購入される土地が安心・安全な土地なのかだと思います。
・お隣との境界は決まっているのか
・土地の面積は正しいのか
・お隣に住んでいる人は良い人なのか

せっかく気に入って購入しても、購入後に上のような問題が生じるのは嫌ですよね。
不動産屋さんの目線での記事はもちろん重要ですので読んだ方がいいです。
同時に違う角度からの情報もあった方が、より良い買い物ができると思います。

下が「中古物件購入の際に使える土地の境界チェックリスト」ですのでご参照ください。
全てチェックが左側なら安心してください。

中古物件購入の際に使える土地の境界チェックリスト

 境界標はすべてありますか? ある ない
 座標入りの図面はありますか? ある ない
 お隣との境界確認書はありますか? ある ない
 越境物は、ありますか? ない ある
 建物が増築や減築されている場合、登記に反映されていますか? いる いない
 車庫や物置がある場合、登記に反映されていますか? いる いない

※チェックリストの項目で一つでも右側にチェックが入った場合は、土地家屋調査士に相談されることおすすめいたします。

最後まで読んでいただければ幸いです。

1 中古住宅購入で重要チェックは境界


中古住宅を購入する重要チェックポイントは、境界確定の有無です。

我々土地家屋調査士は、土地の境界を確定させる業務を常日頃行っています。
最近の売買の多くは、建売業者が購入するケースが非常に多いです。


上のような建物群を見たことないでしょうか?
このように土地を購入して土地を分ける分筆登記を行い、分けた土地上に建物を建てて売却する場合が多いです。

このような場合は、土地を買う条件として土地の境界確定を行う場合がほとんどです。

しかし、個人で中古住宅を購入する場合などでは、境界標の明示で終わってしまうケースも少なくはありません。

土地の境界(筆界)は、財産界です。
境界標があるから境界は確定しているという考え方は、正しい考えとは言えません。

本当は、やってはいけない行為ですが、ブロック塀を積み直した時や、水道管、下水道管、ガス管等を入れ直した時に境界標を抜いてしまい、ここだろうと思われる位置に設置してしまうというケースも無きにしも非ずです。

境界標がずれてしまうケースについて詳しくお知りになりたい方は、「【境界標がずれる5つの原因】専門家に依頼して解決」をご参照ください。

ここで、簡単に境界について解説します。
一般的に「境界線」と言われているものには2つの意味があります。
一つは、ブロックや構造物で囲まれた「所有権界」
そして、もう一つは財産界を示す「筆界」

多くの方がこの違いを知らないで「うちの境界線はここ!」などと言っています。

これは本当に危険なことで、仮に自分に敷地内のブロックを建ててしまい、お隣の方も境界線はブロックなどど思っていて土地を利用していた場合、時効により土地を取られてしまう場合もあり得ます。

土地の境界(筆界)はお隣との財産界でもある非常に重要なものです。

境界線のついて詳しくお知りになりたい方は、「境界線の意味本当に知っていますか?境界の専門家が徹底解説!」をご参照ください。

2 起こり得る境界問題と解決法


境界問題は、誰にでも起こり得ます。

また、起こってしまった境界問題を解決するのは非常に大変です。
タイトルで解決法としていますが、実際はどう起こさないかの方が大切ですので、次の各項で詳しく解説します。

2-1 お隣との境界の認識の相違

お隣との境界の認識の相違はよくあります。

これが起こる原因は、1章でもお伝えしましたが、多くの方がブロック塀などで囲まれた部分が境界だと思われてしまっていることです。

実際はブロックの中心が境界線なのに、父親から「このブロックは自分が積んだものでブロックの外側が境界だ」と聞いているといったケースも少なくありません。

このような間違った認識や、思い込みでお隣の方と境界の認識が相違します。

このような場合の解決方法は、我々土地家屋調査士が土地境界確定測量を行う事が効果的だと思います。

土地境界確定測量は、境界の専門家の土地家屋調査士が現地を測量して、様々な資料を基に境界を特定していきます。

土地境界確定の流れは下のようになります。

お隣との境界の認識の相違をなくすためには、土地境界確定が有効です。
中古住宅購入をお考えの方は、境界確定を契約条件にすることをおススメします。

土地境界確定について詳しくお知りになりたい方は、「土地の価値を高めるための境界確定のすすめ」をご参照ください。

2-2 登記面積はあっているか(土地の地積)

登記面積と実測面積が異なることは多いです。

直近で土地を分ける分筆登記や土地の面積を訂正する地積更正登記をおこなっている土地は正しい面積ですが、一度も測量や登記をしたことのない土地や測量や登記をしていてもずいぶん昔の場合は実測面積が登記面積を異なっている場合があります。

この場合も前項と同じく土地境界確定を行う事によって正しい面積を求めることができ、登記面積を正しくするには、「土地地積更正登記」を申請することになります。

中古住宅の購入をお考えの方は、登記面積と実測面積が合っているか確認することをおススメします。

土地の面積について詳しくお知りになりたい方は、「意外と知らない土地の面積~あなたの土地の面積は正しい面積か?」をご参照ください。

土地地積更正登記について詳しくお知りになりたい方は、「土地地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!」をご参照ください。

2-3 お隣の方はどういう人なのか

中古住宅の購入だけでなく、新たに土地や建物を購入してお住まいになる方で気になるのはお隣にはどんな人が住んでいるのかではないでしょうか?

建物の購入は、一生に何回もあるものではありません。
お隣にどんな人が住んでいるのかは、とても重要なことだと思います。

我々土地家屋調査士は、土地の境界確定を行う時は、必ずお隣の方と境界の確認を行います。

中には、境界の立会いをしてくれない方や、立会いをしてくれても境界確認書に署名をいただけない方もいらっしゃいます。

もちろんこれだけで悪い人と決めつけるのは間違いだと思いますが、参考にはなるのではないでしょうか?
中古住宅の購入をお考えの方は、土地境界確定を行い、お隣と土地境界確認書は取交せているのかを確認することをおススメします。

筆界確認書について詳しくお知りになりたい方は、「専門家が解説!筆界確認書に署名・押印することの意味」をご参照ください。

2-4 越境問題

お隣の屋根や庇、樹木が境界を越えていることはよくあることです。

下は、樹木が大きくなって越境している写真です。

樹木の越境なんて大したことないと思われるかもしれませんが、枯れ葉が落ちてきたり様々な問題になることもあり得ます。

中古住宅の購入をお考えの方は、土地境界確定を行い、しっかりと境界(筆界)を決めて境界からはみ出ているものを事前に取り除いてもらうことをおススメします。

3 起こり得る建物問題と解決法


中古住宅を購入する場合、起こり得る建物問題もあります。

もちろん建物ですので、耐震の問題やシロアリの問題等重要な問題は多いと思いますが、土地家屋調査士目線で考えたときの問題を解説します。

建物の売買で多いのが、増築や減築をしたり、物置や車庫を後から建築したのに登記を行っていないケースです。

金融機関から融資を受けて購入する場合は、金融機関から指摘されて登記を行うケースもありますが、現金で購入する場合などは、この問題を見落としてしまう場合もあり得ます。
購入した後にこのようなケースが発覚すると、登記手続きも面倒になります。

また、自宅を登記した後に車庫や物置等を建て登記していない場合、増築したが増築部分が登記されていない場合、車庫、物置等や増築部分の所有権がはっきりしていません。
最悪の場合、誰ががその部分の所有権を主張してくる可能性もあり得ます。

このような場合は、購入前に前所有者の名義で登記をしてもらいましょう。

中古住宅の購入をお考えの方は、購入前に法務局で建物の登記簿と建物図面・各階平面図を取得して現地の建物と照らし合わせて見ることをおススメします。

未登記の建物の登記について詳しくお知りになりたい方は、「未登記とは?未登記建物の表題登記について専門家が徹底解説!」をご参照ください。

増築部分が登記されていない建物について詳しくお知りになりたい方は、「増築未登記の中古戸建のリスクとその解消方法を土地家屋調査士が解説」をご参照ください。

4 まとめ

土地家屋調査士の立場から、中古住宅を購入する時に注意してほしい問題と解説してきました。

中古住宅を購入しようと考えたときにWEB検索をすると中古住宅の情報やリノベーションの情報が上位表示されます。

購入者が気になる部分なので当然だと思います。

この記事は、一般の不動産業、リノベーション業者の視点からではなく、表示に関する登記及び境界の専門家である土地家屋調査士の視点から中古住宅を購入するときの注意点を解説しています。

土地については、境界に関すること、登記面積と実測面積のこと、お隣の所有者のこと、そして越境に関することを解説しました。
これらには購入条件として土地境界確定を行う事をおススメしました。

建物については、自宅を登記した後、車庫や物置を建てて登記していない場合、増築や減築をしているのに登記していない場合について解説しました。
この場合には、購入前に前所有者より登記を申請してもらうことをおススメしました。

中古住宅を購入して自分たちの好みにリノベーションするという楽しみはあると思います。
しかし、購入後に色々な問題が出てきて「買わなければよかったと」ならないようにしたいですよね。

この記事を、読んでいただいた方が優良な中古住宅を購入して自分たちの好みにリノベーションし、楽しい生活ができる一助になれば幸いです。

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