相続財産調査で土地境界と未登記建物の調査方法について専門家が解説

相続財産調査において、土地境界と未登記建物を調査把握しておくことは重要です。

相続財産調査と言えば、弁護士・司法書士・税理士に丸ごとお願いして相続人の調査確定まで行うのが一般的ですが、意外と相続財産調査の中でも土地境界の部分と未登記建物については見落とされがちです。

相続人間でもめるのではなく、特にお隣さんと揉めてしまうのが土地境界です。また、未登記不動産についてもそのままにしておくと、誰が所有者なのか不明確なまま相続登記もなされず気が付いた時には2次相続3次相続が発生し、相続権利者が何十人にもなっていて大変なことになってしまったということがあります。

現金や株式・債券などの金融資産であれば、一定の手続きを取れば相続財産調査はそれほど問題無く進むと思われますが、土地境界や未登記建物に関しては、簡単にはいきません。
相続前であれば事前にしっかりと対策することができますし、相続後であっても、この部分についてはすぐに対応をしなければならない状態になっていることがあるのです。
売却をしなければならない場面で境界についてトラブルになっていることが判明してもその対処に時間がかかることがほとんどです。
事前の対策や、前もって対応しておくことが重要で、安心安全な相続手続きにつながっていきます。

この記事では、土地境界や未登記建物表題登記の専門家である土地家屋調査士が、相続財産調査の中でも特に重要で早めの対応(調査スタート)が必要だと考える理由を事例とともに紹介していきます。

これから相続を迎えるにあたり準備を始めている方、相続を迎えてすぐに調査が必要となっている方はぜひ参考にして相続財産調査を開始してください。

1 相続財産調査の方法

相続財産調査の方法は財産の種別により異なります。今後の遺産分割もありますので、一般的には弁護士・司法書士・税理士などの専門家へ一任した方が、安心です。

金融資産・株式・債券・ゴルフ会員権など各取引先に対して、資産状況の開示をしてもらいまとめていきます。

その中でも、不動産については特殊な状況が存在し得ますので、土地境界や未登記建物については土地家屋調査士へ調査を依頼した方が良いケースが存在します。

土地境界の調査方法は、その後の手続きの状況に応じて確定測量を行い、分筆の登記をする必要が出てくるなど、数か月単位での時間を要する調査もあります。また、未登記建物については、その建物についての所有権が登記されていないという状態ですので、権利証も存在せず、権利としては不安定な状態となっています。未登記建物についての調査も時間がかかる場合がありますので、早めに調査を開始するべきでしょう。

それでは、相続財産調査の中でも特に土地境界と未登記建物に焦点を当てて次章以降で解説をしていきます。

2 相続財産調査(土地境界)

相続財産調査の中でも、土地境界の調査方法について解説します。
土地境界を調査するには一般的には専門家である土地家屋調査士へ依頼をします。法務局にある公図や地積測量図並びに現地の杭やブロック塀などの構造物を調査測量した上で、お隣の所有者へ境界確認を行い、境界標の設置及び書類を作成するなど詳細の調査を行った上で境界線の確定(=確定測量)を行うこともあります。

土地は相続により名義を変更するだけであれば、厳密には土地境界の調査まで行わずとも相続税申告や相続登記はできます。

しかし、納税資金を確保しなければならない、不要だから売却したい、兄弟で土地を分割して分けたい。このような時は土地境界の調査が必要になります。売却の場面でも契約条件に確定測量が入らなければ、調査は不要ですが、確定測量が契約条件になれば土地を測量してお隣の所有者と境界を確認するなどの詳しい調査が必要です。

これらの場面においては、必ず確定測量が必要になります。

確定測量や分筆についての詳しい解説は下記を参考にしてください。

確定測量とは?なぜ必要なのかについて土地家屋調査士が徹底解説

分筆とは?安全確実な登記方法について土地家屋調査士が徹底解説!

土地家屋調査士法人えんが行う「境界確定」を土地家屋調査士が解説!

確定測量の実施が必要になるとかなりの日数を要し、状況によっては半年から年単位でかかることがあります。確定測量はご自身で行うことは一般的には困難ですので土地家屋調査士へ早めに依頼をしましょう。

費用やスケジュールについては後半の4章で詳しく解説します。

次に未登記建物について解説します。

3 相続財産調査(未登記建物)

相続財産調査の中で、未登記建物の調査方法について解説します。
未登記建物を調査する第一段階は、固定資産税の明細書を確認してください。その上で、現地を確認し課税がされている建物と固定資産税の明細書での該当建物がどれかを確認していきます。法務局に建物登記や建物図面が存在する者は未登記建物ではありませんので、課税明細書に家屋番号や面積などが書かれていますので、一致するか確認しましょう。

この時点で、未登記の増築部分が判明した場合や、課税もされていない登記もされていないなどの物件が判明した場合は、相続財産(亡くなった方の所有物)である以上は遺産分割協議や相続税申告の対象の遺産ということになります。

この未登記部分の登記手続きの専門家は土地家屋調査士です。登記を実施する場合はご自身で行うこともできますが、一般的には土地家屋調査士へ依頼をします。

未登記建物の表題登記や増築部分の登記についての詳しい解説は下記の記事を参考にしてください。

未登記とは?未登記建物の表題登記について専門家が徹底解説!

増築未登記の中古戸建のリスクとその解消方法を土地家屋調査士が解説

4 相続財産調査(土地境界、未登記建物)の費用とスケジュール

相続財産調査の中で土地境界確定測量と未登記建物が必要になった場合の、費用とスケジュールについてそれぞれ解説します。

【土地境界確定測量】
確定測量を土地家屋調査士へ依頼した場合の費用は、土地の条件によって幅があることが特徴です。一般的な200㎡前後の土地の場合の費用の一例で、金額は約80万~100万前後~となりますが、面積が500㎡~何千㎡にもおよぶような土地では、100万円代~数百万になることもあります。

事例で説明します。

面積が100㎡~150㎡くらいの確定測量の費用の一例
条件1:隣接道路が公道で道路境界(筆界)確定済の場合・・・40万円~60万円
条件2:隣接道路が公道で道路境界(筆界)未確定の場合・・・60万円~100万円
条件3:隣接道路が私道で道路所有者が少数の場合   ・・・45万円~65万円
条件4:隣接道路が私道で道路所有者が多数の場合   ・・・60万円~

確定測量の費用は大きく分けると以下の5つで決まります。

詳細は「土地の価値を高めるための境界確定のすすめ」も参考にしてみてください。

確定測量に係る期間ですが早くても2~3か月、状況によっては、数か月から年単位でかかることもあります。

【未登記建物】
未登記建物を登記する場合の費用は一般的な200㎡位までの延床面積での一例で、金額は約15万前後~となります。面積が300㎡~何千㎡にもおよぶような大きな建物では、20万~100万円代になることもあります。

未登記建物の建物表題登記を自分で行う場合、かかる費用は0円です。
登録免許税、印紙代などはかかりません。

土地家屋調査士に依頼する場合、その建物の面積や、構造の複雑さなどにより変動します。

 

CASE1
未登記の一戸建、200㎡以内 15万円+税

CASE2
床面積  200㎡超えの未登記住宅、附属建物2棟    20万円+税

CASE3
床面積 2,000㎡超えの未登記の8階建マンション   45万円+税

などなど、床面積や、所在地など様々なケースにより変動します。

また、相続が発生している場合については、戸籍収集費用のほか、遺産分割協議もまだ済んでいない場合は別途、遺産分割協議書の作成を司法書士等の専門家へ依頼する費用がかかります。

未登記建物に係る調査~登記の期間ですが戸籍調査の日程を除いて早くても概ね一般的なもので1か月程度みておけば十分です。状況によっては、数か月かかることもあります。

5 相続財産調査(土地境界、未登記建物)の専門家の選び方

相続財産調査の中でも土地境界、未登記建物に関する調査を専門家へ依頼する時のポイントは、事務所の近さや安さだけで選ぶことなく、親身になって相談に乗ってくれるなど、信頼のできる事務所を選ぶことです。

土地境界、未登記建物に関する調査依頼先は、土地家屋調査士法人、土地家屋調査士です。

土地家屋調査士は不動産の表示に関する登記及び境界の専門家で、未登記建物の登記申請の代理ができるのは土地家屋調査士のみとなっているほか、筆界(=境界)の専門家である旨が土地家屋調査士法で定義されています。

土地境界の確定測量や未登記建物の調査を実施するには、関係者と日程調整を行う必要がありますし、スムーズに確実に調査・測量・登記を実行する必要があります。

したがって、依頼する時は、下記のようなポイントをしっかり確認しましょう。

良い選び方
1.信頼できる
2.親身になって相談してくれる
3.見積額、注意点を示してくれる
悪い選び方
1.事務所が近いことだけで選ぶ
2.費用が安いことだけで選ぶ
3.適当に選ぶ

6 まとめ


相続財産調査の中でも、主に土地境界、未登記建物の調査方法のポイントとなるのは下記の通りです。

☑︎ポイント1. 土地境界は調査に時間も費用もかかる
☑︎ポイント2. 土地境界は揉めがちであるため早めに調査を始めることが大切
☑︎ポイント3. 土地を売却する時は確定測量が必要になることがある
☑︎ポイント4. 土地の一部売却や兄弟で分ける時には確定測量や分筆が必要
☑︎ポイント5. 土地境界の調査は土地家屋調査士へ依頼する
☑︎ポイント6. 建物は未登記になっていることがある
☑︎ポイント7. 建物は課税がされていないこともある
☑︎ポイント8. 未登記や未課税の建物を相続登記するには事前に表題登記が必要になる
☑︎ポイント9. 未登記建物は調査に時間がかかるため早めに調査を始めることが大切
☑︎ポイント10. 未登記建物の調査は土地家屋調査士へ依頼する

相続財産調査を考える時、相続が発生した後に相続手続きのために準備をすることが多いのですが、相続発生前に相続財産調査を考えられた方は是非これらの調査を早めに実施を検討すると良いでしょう。

土地の境界調査は、金融機関の調査などに比べて、お隣との境界確認というイレギュラーな第三者の協力が絡んでくるものです。早めに着手しておかなければ協力が得られず、時間がかかってしまうとすぐに分割などが出来ないことも考えられるからです。

相続財産調査に中でも特に土地家屋調査士へ依頼することがある土地境界、未登記建物について解説してきました。これらの重要性を認識したうえで、早めに調査を実施し、安心安全な相続につなげていきましょう。

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