「分筆登記は自分できるのか?」分筆登記の流れをわかりやすく解説

・分筆登記をやろうと思い見積りを取ってみたが、結構高い金額だったので自分でできないのか
・パソコンには多少自信があるので自分で図面作成ができそうなので分筆登記を自分でやりたい

などと思われて検索されたのではないでしょうか?

確かに分筆登記は土地の所有者から申請ができます。

しかし、申請だけなら個人の方でもできると思いますが、分筆登記の前提として土地の境界が確定していることが条件となります。

土地を確定させるためには、現地を測量して様々な資料と照らし合わせ、境界を特定してお隣の所有者と確認するという一般の方では厳しいハードルがあります。

この記事では、分筆登記の流れを明らかにして、個人で分筆登記を行うのが難しい理由を解説します。
また、当事務所に分筆登記を依頼された場合、どうすれば金額を下げることができるのかも参考として記載しています。

最後まで読んでいただければ幸いです。

1 分筆登記は自分でできるのか

分筆登記の申請は自分でもできます。

不動産登記法第39条1項では、「分筆登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」となっています。

不動産登記法第39条1項
分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

不動産登記法上、分筆登記は自分で申請できますが、測量、境界の特定、隣接地との境界確認、図面作成等一般の人では難しい作業が多いので測量経験者でなければ自分でやるのは相当難しいです。

次章で、分筆登記の流れと詳細を解説いたしますので、読んでいただければ何がどう難しく個人で申請するのは難しいという理由がわかります。

2 分筆登記の流れ

分筆登記を申請するまでの流れは下記となります。
土地家屋調査士に依頼した場合で 解説します。

STEP1:土地家屋調査士に依頼

土地分筆登記のほとんどが土地家屋調査士が代理申請で行います。

土地家屋調査士法第3条では、「調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。」
①不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量
②不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理

このように土地分筆登記は土地家屋調査士の業と規定されています。

参考

土地家屋調査士法第3条
第三条 調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一  動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量
二 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理
三 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算 機による情報処理の用に供されるものをいう。第五号において同じ。)の作成
四 筆界特定の手続(不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。次号において同じ。)についての代理
五 筆界特定の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録の作成
六 前各号に掲げる事務についての相談
七 土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続(民間事業者が、紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について、紛争の当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者との間の契約に基づき、和解の仲介を行う裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。)をいう。)であつて当該紛争の解決の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として法務大臣が指定するものが行うものについての代理
八 前号に掲げる事務についての相談

STEP2:資料収集

STEP3の測量をする前段として「資料調査」を行います。

測量する土地の境界はどこなのか、道路境界は決まっているのかなどの資料を法務局や国、都道府県、市区町村で調査します。

この資料は、現地で測量する際にも使用しますが、STEP4で測量結果と各資料を照らし合わせて境界を特定するために使用します。

STEP3:測量

土地分筆登記を申請するためには、土地の境界が確定していることが条件となります。

土地の境界を確定させるためには土地境界確定測量が必要となります。
境界は、ブロックやフェンス等があるからここといったものではなく、「公法上の線」と呼ばれ土地ができた時から存在する境界となります。

境界線は、目に見えないため広範囲を測量してSTEP2で取得した資料等に基づいて境界を特定していく作業です。

土地境界確定測量を詳しくお知りになりたい方は、「確定測量とは?なぜ必要かについて土地家屋調査士が徹底解説」をご参照ください。

STEP4:計算

STEP3で測量した結果とSTEP2で取得した資料を照らし合わせて境界を特定していきます。

境界(筆界)は、土地ができた時から決まっているものなので、「ここでいい」という考えはなく、「ここだ!」と特定する必要があります。

この境界(筆界)を特定する業務は専門性と経験値を有する非常に大切なものとなります。

STEP5:境界の仮ポイント設置

STEP4の計算で、境界(筆界)を特定したら現地の仮のポイントを付けます。
仮のポイントはペンキなので簡易なもので行うことが多いです。

このポイントはSTEP6のお隣との境界立会い時に使用します。

STEP6: お隣との境界立会い

我々土地家屋調査士は、専門家なので境界(筆界)を正しい位置で特定します。

本来ならこれで分筆登記の申請は可能なのだと思いますが、実務上はお隣の所有者と境界(筆界)の位置を確認してもらい了承をもらいます。
(一般的には、境界を確認したことを証する「筆界確認書」という書面を取り交わします。)

筆界確認書について詳しくお知りになりたい方は、「専門家が解説!筆界確認書に署名・押印することの意味」をご参照ください。

STEP7:境界標設置

境界を特定して、お隣との境界確認が終了したら、STEP6で付けたポイントに境界標を設置します。

境界標は、コンクリート杭・金属標・鋲等いくつかの種類がありますが、現地の状況に合わせて設置します。

例えば、ブロックなどの構造物があり物理的にコンクリートの境界杭などが設置できない場合は、ブロックの上に貼り付ける金属標を設置します。

境界標の種類について詳しくお知りになりたい方は、「境界標の種類を徹底解説!これであなたも境界標通!」をご参照ください。

STEP8:分筆登記申請

ここまできてやっと「分筆登記」が申請できます。

分筆登記を申請すると言っても「地積測量図」を作成したり、分割する点に境界標を設置したり、まだまだ難しいことが多いです。

分筆登記について詳しくお知りになりたい方は、「分筆とは?安全確実な登記方法について土地家屋調査士が徹底解説!」をご参照ください。

STEP9:登記完了

管轄法務局に登記申請をして通常1週間~2週間で登記が完了します。

これでやっと「分筆登記」が完了となります。
専門的なことが多く、自分でやるにはハードルが高いと思われたのではないでしょうか?

このように専門的なことが多いため、費用も高くなってしまいます。

次章では、どうすれば安くできるのか?を弊所(土地家屋調査士法人えん)の場合で解説したいと思います。

3 分筆登記費用を安くするためには(土地家屋調査士法人えんに依頼するなら)


分筆費用を安くすることはできます。

土地家屋調査士法人えんの場合で解説しますが・・・・・。

我々の業務の中で、最も時間を要する業務の一つにお隣との境界立会いがあります。

理由としては、いくつかありますが、代表的な理由として
①空家になっていてどこに住んでいるかわからない
②お隣との近所づきあいがうまくいっていない

などがあります。

このような場合、お隣と連絡を取ることが困難で時間を要します。
この部分を協力いただくことで費用を下げることは可能です。

具体的には下記の項目で費用を下げられます。
①お隣に測量する旨の挨拶をしてもらう
②なぜ測量するのかを公開する
③境界の立会いに同行する
④空家などでお隣がいない場合は、どこに住んでいるのかご近所の方に聞いていただく

上記をやっていただくだけで我々の作業スピードは格段に上がりますので費用を下げることは可能です。

4 まとめ

分筆登記は、自分でやることは可能です。

しかし、測量や計算、お隣との境界確認等専門的なことがほとんどです。

「分筆登記 自分で」と検索された方の多くが、「分筆登記申請」だけで考え、申請書の作成方法や地積測量図の作成方法を調べたくて検索されていると思います。

分筆登記は、申請の前段として測量・計算・境界の特定・お隣との境界立会い・境界標設置といった業務が大半を占めます。

このようなことから自分で分筆登記をすることはかなりハードルが高いです。

また、専門的な業務のため費用も高いのも事実だと思います。
記事内でもお伝えしましたが、費用に関しては、ご協力いただければ安くすることも可能です。

境界は、お隣との財産界を示す大切なものです。
分筆登記に関しても土地家屋調査士に依頼することをおすすめします。

この記事が、皆様の大切な不動産を安心・安全な価値にする 一助になれば幸いです。

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