土地の権利証を紛失してお困りの方へ★合筆登記をして解決する方法★

売却しようと思い、権利証を探していたが見つからない。贈与手続きを頼もうと思ったが権利証が見つからない。

権利証を紛失した時って、誰かに盗まれたのか、大掃除の時に誤って捨ててしまったのか分からず、売却や贈与の手続きをすることが出来ないのではないかと、かなり不安になりますよね。

権利証を紛失して不安になっているあなた、大丈夫です。一定の条件のもと、合筆登記をすることにより、最新の権利証が手に入ります。

土地の売却をしたり、贈与をしたりするときに必要となってくる権利証。土地の所有者であることを証明してくれるとっても大切な権利証。
権利証を紛失しただけでは、直ちに土地の権利を失うようなことにはならず、いくつか権利証に代わる方法をとることにより、売却や贈与の手続きを行うことが出来ます。

権利証は、土地の所有権を示すとても大切な書類であり、紛失しないよう自宅の金庫や銀行の貸金庫などに厳重に保管している人も多いでしょう。しかし、何らかの原因で、誤って廃棄してしまったということもあると思います。

本記事では、一般的な対処法に加えて土地の合筆登記や合併登記などで権利証を扱っている、土地家屋調査士の目線から、『合筆登記を行えば新しい権利証を手にすることもできるよ』という、解決法を提案します。

権利証の紛失に気が付いたけど、すぐに売却や贈与の予定がない方や、とにかく新しい権利証を今すぐに発行して安心したいという方、法人の総務関係の仕事をされている方で管理の都合上権利証が必要な方など、是非、本記事を最後まで読んでいただき、新しい権利証(=登記識別情報通知)を発行する方法があるということを知ってください。

1 土地の権利証を紛失した際の対処法


土地の権利証を紛失しても大丈夫。対処法は4つあります。
いずれも、不動産登記手続関連法に規定された対処法で、紛失したことが判明したら、状況に応じて対処していきましょう。

紛失してもこれらの対処法をとれば売却や贈与などの手続きに支障はありません。

 

権利証(けんりしょう)とは : 権利証とは、簡単にいいますと、土地・建物の所有者本人であることの証明をする書類です。「権利書・登記済権利証」など、いくつかの呼び方があります。売却など権利を誰かに譲るときに法務局(国)へ提出します。所有権の登記をした時に、法務局(国)から新しい不動産所有者へ発行されます。昔は法務局(国)が朱印を押して証明していましたが、今は登記識別情報通知という12桁の英数字が書かれた紙を渡します。

(朱印が押された権利証)

権利証の再発行手続きはありませんので、いずれかの手続きをする必要があります。
それでは、一つずつみていきましょう。

1-1 不正登記防止申出

不正登記防止申出(ふせいとうきぼうしもうしで)は、権利証や印鑑証明書が盗まれたような場合に行う手続きです。
法務局に対してこの申出を行います。
この申出をしてから3か月以内にこの申し出に係る登記の申請があったときは、速やかに、申出をした者にその旨が通知されますので、勝手に名義変更される前に気が付くことができます。

警察等の犯罪捜査機関に被害届などが提出されていることが必要になります。

1-2 事前通知

事前通知(じぜんつうち)は、権利証や印鑑証明書は盗まれてはいないものの、どこにしまったのか分からなくなってしまったような場合に行う手続きです。
法務局がこの通知を行うことにより、権利証が無くとも本人確認ができます。

事前通知の具体例 : 不動産を売却したいが権利証が見つからない。
不動産を売却したら、売主から買主へ所有権移転登記を申請します。この時に売主の方で必要になる権利証ですが、これを紛失していた場合、この通知を使うことがあります。

法務局からあなたの土地を売却して買主の名義にする登記が申請されていますが、間違いないですか?という封書が郵送されますので、これに実印を押して、間違いありませんと返送することにより登記が実行されます。

1-3 本人確認情報

本人確認情報(ほんにんかくにんじょうほう)も、事前通知と同じく権利証や印鑑証明書は盗まれてはいないものの、どこにしまったのか分からなくなってしまったような場合に行う手続きです。
登記を申請する前に司法書士や土地家屋調査士などの資格者代理人が本人確認を行い、本人確認情報を作成することにより、権利証が無くとも権利証が必要な登記ができます。

本人確認情報の具体例 : 不動産を売却したいが権利証が見つからない。
不動産を売却したら、売主から買主へ所有権移転登記を申請します。この時に売主の方で必要になる権利証ですが、これを紛失していた場合、本人確認情報を作成することがあります。買主を保護するために、事前通知ではなく本人確認情報を作成しておくことがあります。
不動産を売却してお金を振り込んだのちに、所有権移転登記を申請しますが、事前通知の場合、売主が法務局からの問い合わせに応答する必要がありますが、応答しないリスクが存在する為、買主(買主側金融機関)にとっては、事前通知より本人確認情報の作成を求めるケースがあります。

また、登記を急ぐ場面などでは、事前通知ではなく本人確認情報で登記します。

本人確認情報の作成方法ですが、資格者代理人が所有者の住所地へ直接訪問などを行い、必ず本人の面前で、運転免許証やマイナンバーカードなどの資料で本人確認をしながら、住所・氏名・干支などを直接聞き取り、それを書類にまとめ、資格者代理人の職印を押印するものです。資格者代理人は本人確認について重い責任を負うことになります。

1-4 合筆登記

合筆登記(合筆登記)についても、権利証や印鑑証明書は盗まれてはいないものの、どこにしまったのか分からなくなってしまったように有効な対処法です。合筆登記を実施することにより新しい権利証(=登記識別情報)を入手することができます。

合筆登記は自分でも申請できますが、専門家に依頼する場合は土地家屋調査士へ依頼します。合筆登記を申請することにより、権利証(=登記識別情報)が入手できます。

次章で合筆登記について詳しい解説をしていきます。

2 合筆登記が出来れば新たな権利証(登記識別情報通知)が手に入る


権利証を紛失したとしても、合筆登記が出来れば新たな権利証(登記識別情報通知)が手に入ります。
合筆登記の具体的な内容について解説していきます。

2-1 合筆登記とは

合筆(がっぴつ、ごうひつ)登記とは、2個以上の土地を合わせることで、隣接した土地を1つの土地にすることを言います。

(3つの土地が合筆されて1つの土地となる時の公図のイメージ)

上記の土地は、54-9、54-10、54-11の3つの土地を合筆して、54-9の1つの土地にしました。

(合筆した後の54-9の土地登記記録の一部)

登記記録に54-10、54-11を合筆したことが記録されます。

合筆をすると、54-9の土地の面積は増加し、権利証(登記識別情報)が発行されます。

合筆するにはいくつか条件があります。主なポイントは下記の通りです。

2-2 合筆登記を専門家に依頼する方法

合筆登記を専門家に依頼する場合は、土地家屋調査士に依頼します。
合筆登記を専門家へ依頼する時のポイントは、事務所の近さや安さだけで選ぶことなく、親身になって相談に乗ってくれるなど、信頼のできる事務所を選ぶことです。

依頼先は、土地家屋調査士法人、土地家屋調査士です。

土地家屋調査士は不動産の表示に関する登記及び筆界に関する専門家で、合筆登記の代理ができるのは土地家屋調査士です。

合筆登記を実施するには、権利証や登記識別情報などの確認ができる必要があり、合筆制限にかかっていないかなど条件を確認したうえで合筆登記を実行する必要があります。

したがって、依頼する時は、下記のようなポイントをしっかり確認しましょう。

良い選び方
1.信頼できる
2.親身になって相談してくれる
3.見積額、注意点を示してくれる
悪い選び方
1.事務所が近いことだけで選ぶ
2.費用が安いことだけで選ぶ
3.適当に選ぶ

2-3 実際に合筆登記して権利証(登記識別情報)を手に入れた事例

実際に権利証(登記識別情報)を手に入れた事例をご紹介します。
平成17年に不動産登記法が改正され、現在は権利証(登記済権利証)という名前ではなく、登記識別情報通知という書類になっています。

(事例1)

売買をするにあたり、取引の都合、権利証が必要になった。幸い、所有地が2筆あり合筆できる条件も整っていたことから、合筆登記をして権利証(登記識別情報)を手に入れた。

(新しく手に入れた登記識別情報通知の書類)

↑ これが今の時代の権利証(=登記識別情報)です。
合筆については下記の記事も参考にしてみてください。

合筆登記とは?あなたの土地の管理をラクにする方法

(事例2)

複数個所有している土地の一部を分筆して売却しようと考え、手続きを進めていたところ、一部の土地について権利証を紛失していることに気がついた。分筆手続きを依頼していた土地家屋調査士に分筆前に合筆も追加依頼し、合筆登記・分筆登記の流れで手続きを行った。
この合筆登記・分筆登記をして権利証(登記識別情報)を手に入れただけでなく、売却地と所有地を綺麗に分けた地積測量図も作成することができた。

(合筆後に赤のラインで分筆され綺麗に分けられた地積測量図)

分筆については、下記の記事を参考にしてください。
分筆とは?安全確実な登記方法について土地家屋調査士が徹底解説!

(事例3)

会社の総務部で土地の権利証の整理をしていたところ、一部の土地に権利証が無いことが判明した。上場企業として、所有不動産を厳格に管理する必要があることから、所有地を合筆し1筆にすることにした。この合筆登記により権利証(登記識別情報)を手に入れた。
また、合筆登記だけでなく、将来すぐに売却・現金化できるよう合筆後の1筆を確定測量及び土地地積更正登記まで行い管理地を明確にすることができた。

(合筆・地積更正登記され明確になった土地の地積測量図)

(合筆・地積更正登記され、正しい面積になった土地の登記簿)

確定測量及び地積更正登記については、下記の記事を参考にしてください。

「確定測量とは?なぜ必要なのかについて土地家屋調査士が徹底解説」

「土地地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!」

3 まとめ

権利証を紛失していることが分かった時のノウハウや対応策をまとめると、この4つに集約されると考えています。

①盗難にあったことが分かったら、すぐに警察に届け、法務局に対し不正登記防止申出をする

②盗難以外で権利証を紛失してしまったようでも、焦らないでも大丈夫、事前通知という手続きで登記申請するという方法がある

③盗難以外で権利証を紛失してしまったようでも、焦らないでも大丈夫、本人確認情報を司法書士や土地家屋調査士に作成してもらうという手続きで登記申請するという方法がある

➃合筆登記を申請する

合筆登記には下記のような一定の条件がある

権利証を紛失するということは、ショッキングな出来事で大変不安であったことと思います。今回は、合筆登記が実施できれば、権利証(登記識別情報)を手に入れられると新たな解決方法の視点を知ることができたと思います。

本記事を参考にしながら、不安を解消し、すぐに対処法を実行することで、安心安全な不動産取引の準備が必ずできるようになります。

このノウハウをもとに、是非、安心安全な不動産取引を手にしてください。

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