【土地家屋調査士が解説する】土地家屋調査士とは?

「土地家屋調査士」という資格があるのはご存じでしょうか?

 

多くの方が「測量士」と混同されていると思います。

それもそのはず、2017年日本土地家屋調査士会連合会が把握してる会員数は16,761名、「測量士」は少し古いデータですが2014年で土地家屋調査士の10倍以上の22万人もの会員数です。

弁護士は2020年で42,164名、税務申告などで身近な資格の税理士では2021年で79,280名です。

これらのデータを見ても、どれだけ土地家屋調査士の人数が少ないかがわかります。

人数は他資格と比べて少ないですが、土地家屋調査士は法務省が管轄の資格であり試験内容も不動産登記法、民法等があり、皆様の大切な財産である不動産を守る番人とも言える資格です。
(法務省の国家資格は、弁護士・検事・裁判官になる司法試験や司法書士資格があります。)

この記事では「土地家屋調査士」とはどのような資格なのか、そして土地家屋調査士が公正・公平な立場で業務を行わなければならず、信頼に値する資格だということについて解説します。

 

「土地家屋調査士」とはどういう存在なのかを知り、皆様の大切な財産である不動産が安心・安全な財産に生まれ変わる一助になれば幸いです。

 

1 土地家屋調査士とは

土地家屋調査士は「不動産登記法」「民法」といった法律知識と「測量」という技術を駆使して皆様の大切な財産である不動産を価値(安心・安全)あるものにすることを業としています。

 

土地家屋調査士法第1条では下記のように規定されています。

土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。

 

土地家屋調査士法第1条記載のとおり土地家屋調査士の役割は①不動産の表示に関する登記②土地の筆界を明らかにする業務があります。

これらについて詳しく説明していきます。

1-1 土地家屋調査士の役割(不動産の表示に関する登記)

土地家屋調査士の役割は「登記記録」のうち、表示(表題部)に関する登記手続の代理又これらの登記手続に必要な不動産の調査及び測量を行います。

法務局(登記所)で管理されている「登記記録」について解説します。

法務局(登記所)は以前(コンピュータ管理前)、簿冊(紙)で登記用紙を編綴(へんてつ)していましたが現在はコンピュータで管理しています。
以前は簿冊(紙)で管理されていたことから「登記簿」と呼ばれていましたが現在は「登記記録」と呼ばれています。

登記記録は「表題部」と「権利部」に分かれておりそれぞれ記載内容が異なります。


「不動産の表示に関する登記」とはこの「表題部」に関するものを言います。

(土地の登記記録)

土地の登記記録の「表題部」には下記の情報が記載されています。

・土地の所在(〇〇市〇〇町一丁目)
・地番(1番1)
・地目(宅地、畑、雑種地、山林・・・・全部で23種類あります。)
・地積(100.00㎡)
・原因及びその日付(1番1、1番2に分筆等)

このように土地登記記録の「表題部」には、その土地の内容が記載れています。
人間で言えば住所・氏名・身長・体重・生年月日みたいなものです。


                       
土地の登記記録の「権利部」には下記が記載されています。
「権利部」は(甲区)と(乙区)に分かれて構成されています。

 

権利部(甲区):所有権に関する事項
・原因(売買、相続などの所有に至った原因)
・所有者(所有者の住所と氏名)

権利部(乙区):所有権以外の権利に関する事項
・登記の目的(抵当権設定など)
・その他の事項(どこの金融機関からいくら借りたかなど)

 

このように土地登記記録の「権利部」には、その土地の所有者等が記載されています。
「表題部」とは異なり「権利部」はその土地を実際に見ても見えない部分が記載されています。人間で言えば血圧・視力・体脂肪率みたいなものです。

                     

「権利部」の登記は「土地家屋調査士」の業務ではなく「司法書士」の業務になります。
                       

(建物の登記記録)

建物の登記記録の「表題部」には下記が記載されています。

・建物の所在(〇〇市〇〇町一丁目1番地1)
・家屋番号(1番1)
・種類(居宅、共同住宅等)
・構造(木造かわらぶき2階建)
・床面積(1階100.00㎡ 2階100.00㎡)
・原因及びその日付(令和3年6月29日新築)

このように建物の登記記録の「表題部」には、その建物の内容が記載されています。
どこに建っていて、建物の用途は何で、構造は木造なのか鉄骨造なのか、面積はこのくらいで、
その建物はいつ建築されたのか。
このようなことが記載されているのが建物の「表題部」です。

建物の登記記録の「権利部」には下記が記載されています。
「権利部」は(甲区)と(乙区)に分かれて構成されています。

権利部(甲区):所有権に関する事項
・登記の目的(所有権保存、所有権移転等)
・所有者(所有者の住所と氏名)

権利部(乙区):所有権以外の権利に関する事項
・登記の目的(抵当権設定など)
・その他の事項(どこの金融機関からいくら借りたかなど)

このように建物の登記記録の「権利部」には、その土地の所有者等が記載れています。
「表題部」とは異なり「権利部」はその土地を実際に見ても見えない部分が記載されています。

「権利部」の登記は「土地家屋調査士」の業務ではなく「司法書士」の業務をなります。

1-2 土地家屋調査士の役割(土地の筆界を明らかにする業務)

土地家屋調査士法第1条で土地家屋調査士は、土地の筆界を明らかにする業務の専門家と定義されています。

土地の境界(筆界)は、多くの方がブロックなどで隣と仕切られているのでブロックが境界でしょう!と思われていますが、それは「所有権の境」で境界(正式には筆界)とは似て非なるものなのです。

では筆界とは何なのでしょう?

「筆界」とは,公法上の線と呼ばれ、土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線であり,所有者同士の合意などによって変更することはできません。

公法上の線・・・目に見えませんが筆界は既に決まっているということです。
筆界確定は、この目に見えない線(公法上の線)を様々な資料に基づいて明確にする作業を言います。

土地家屋調査士は、官公署・法務局等で保管されている資料に基づき現地を測量及び計算をし、この目に見えない「公法上の線」を明らかにしていきます。

2 土地家屋調査士になるには

土地家屋調査士になるに二つの方法があります。
① 法務省が行う国家資格(土地家屋調査士試験)に合格する。
② 法務局において実務を経験し、法務大臣の認定を受ける。

一般的に①の土地家屋調査士試験に合格して土地家屋調査士になる人がほとんどです。

土地家屋調査士試験は年齢、性別、学歴は一切関係なく誰でも受験できます。
試験は年1回10月に筆記試験が行われ合格者のみ1月の口述試験に進めます。

受験者数・合格者数・合格率は下記のとおりです。

年  度受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)
令和2年3,78539210.3
令和元年4,1984069.6
平成30年4,3804189.5
平成29年4,6004008.6
平成28年4,5064028.9

過去5年の合格者数を見てみると400名前後が合格しています。
試験についての詳細は「令和3年度土地家屋調査士試験受験案内書」をご参照ください。

3 土地家屋調査士の業務

土地家屋調査士の業務は非常に専門性が強く且つ公正・公平が求められる仕事となります。
業務の内容から誰に依頼してもいいということではなく、より専門性の高い土地家屋調査士に依頼すると良いでしょう。

土地家屋調査士の業務は下記5つとされています。

① 不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量をすること。
② 不動産の表示に関する登記の申請手続について代理すること。
③ 不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続について代理すること。
④ 筆界特定の手続について代理すること。
⑤ 土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続について代理すること

それぞれについて説明します。

①不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量をすること。
 土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量を行う専門家として、不動産の物理的状況を正確に登記記録に反映させるために、必要な調査及び測量を行います。
具体的には、不動産(土地又は建物)の物理的な状況を正確に把握するためにする調査、測量の事を言い、例えば、土地の分筆登記であれば、登記所に備え付けられた地図や地積測量図等の資料、現地の状況や隣接所有者の立会い等を得て公法上の筆界を確認し、その成果に基づき測量をすることになります。

②不動産の表示に関する登記の申請手続について代理すること。
 不動産の表示に関する登記は、所有者にその申請義務が課せられています。
しかし、その手続きはとても複雑で一般の方には理解しづらい事があります。
そこで、土地家屋調査士は、依頼人の求めに応じて不動産の表示に関する登記の申請手続を代理します。
不動産の物理的な状況を登記簿に反映するために、調査・測量の結果を踏まえ、建物を新築した場合における建物の表示の登記、土地の分筆の登記等の登記申請手続を行います。

③不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続について代理すること。
 審査請求とは、不動産の表示に関する登記についての登記官の処分が不当であるとする者が(地方)法務局長に対して行う不服申立てをいいます。

④筆界特定の手続について代理すること。
 筆界特定の手続※1とは、土地の所有者の申請により、登記官が、外部の専門家の意見を踏まえて筆界を特定する制度における手続をいう。

※1:筆界特定の手続きとは、土地の一筆ごとの境界(筆界)を決定するための行政制度です。
筆界特定登記官が土地の所有権の登記名義人等の申請により、申請人・関係人等に意見及び資料を提出する機会を与えた上、外部専門家である「筆界調査委員」の意見を踏まえ、筆界の現地における位置を特定する不動産登記法上の制度です。

⑤土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続について代理すること
 この業務については、民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した土地家屋調査士(ADR認定土地家屋調査士)に限り、弁護士との共同受任を条件として、行うことができます。

①~⑤ の事務に関して、相談に応じること等も、業務に含まれます。

本章の冒頭でも申し上げましたが土地家屋調査士は非常に専門性が強く且つ、公正・公平が求められます。
では、どのような土地家屋調査士を選んだらいいのかをお伝えします。

4 土地家屋調査士の選び方

土地家屋調査士事務所も多数あります。
その中でどこを選べばいいのか?
いくつかポイントをご紹介します。

① 相談やお見積りの段階から親身になってくれるか。
相談や見積りの段階から細かく内容をしっかり聞いてくれていますか!
値段が安過ぎませんか!

② 見積りの内訳をしっかり説明できるか。
上記、値段が安過ぎませんか!とも共通しますがどんな業界にも適正価格というものはあります。なぜそうなるのかをしっかり説明してくれていますか!

③ 仕事内容の説明やリスクについて説明してくれるか。
例えば「境界確定」と言っても様々な場合が考えられます。個々により仕事の進め方も違いますし起りうるリスクも違ってきます。
これらをしっかり説明してくれていますか!

④ 現場対応を土地家屋調査士がやってくれるのか。
  土地家屋調査士は本職自らが業務を行わなければならないことになっています。
  本職が現場対応をしてくれていますか!

⑤ 世界測地系(※1)で対応してくれるか。
   ※1 国土地理院HP参照(https://www.gsi.go.jp/KIDS/KIDS13.html
  法務局に提出する「地積測量図」は不動産登記規則第77条1項7号で基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値で作成することになっています。
  世界測地系で対応してくれていますか!

⑥ 契約書(委・受託書、注文書)を発行してくれるか。
契約書は約束事を書面にしています。
言った言わないの話にならないように契約書はしっかり取り交わしましょう。
契約書を発行してくれていますか!

5 土地家屋調査士と他資格者との違い

同じ「登記」を仕事としている「司法書士」
同じ「測量」を仕事としている「測量士」

多くの方が混同されているのではないでしょうか?

いったい何が違うのでしょうか?
個別にわかりやすく解説していきます。

5-1 土地家屋調査士と司法書士の違い

「土地家屋調査士の徽章」

       

「司法書士の徽章」

両資格の徽章を見てもらうとわかると思いますが両資格とも「五三の桐」が使われています。
これは「法務省」の紋章です。
「土地家屋調査士」と「司法書士」は同じ法務省が管轄の資格です。

司法書士の業務は下記のとおりです。

1. 登記又は供託手続の代理
2. (地方)法務局に提出する書類の作成
3. (地方)法務局長に対する登記、供託の審査請求手続の代理
4. 裁判所または検察庁に提出する書類の作成、(地方)法務局に対する筆界特定手続書類の作成
5. 上記1~4に関する相談
6. 法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟、民事調停、仲裁事件、裁判外和解等の代理及びこれらに関する相談
7. 対象土地の価格が5600万円以下の筆界特定手続の代理及びこれに関する相談
8. 家庭裁判所から選任される成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人などの業務

司法書士についての紹介は「日本司法書士連合会」のHPをご参照ください。

上記「司法書士の業務」の1.に記載されているとおり司法書士も「登記」を業としています。

では、土地家屋調査士の「登記業務」と何が違うのか?
1章でもお伝えしていますが「登記記録」には「表題部」と「権利部」の二つがあります。
その二つのうち
「表題部」に関する登記は「土地家屋調査士」
「権利部」に関する登記は「司法書士」が行います。

同じ法務省の資格、同じ登記業務ですが資格の性質は全く異なり「土地家屋調査士」は測量及び登記の「専門家」というイメージ、司法書士は「法律家」というイメージがぴったりくるのではないでしょうか。

5-2 土地家屋調査士と測量士の違い

「土地家屋調査士」と「測量士」は「測量」を業とする資格ですが土地家屋調査士は「法務省」の管轄、「測量士」は「国土交通省」の資格です。

「測量」と言っても様々な測量がありますが大きく分ければ「土地家屋調査士」は民間の測量で「測量士」は公共測量というようなイメージです。

測量士は、測量業者の行う測量に関する計画を作製し、または実施するとされています。
日本において測量業者に配置が義務づけられている国家資格です。
「測量士」の業務内容は、こちらをご参照ください。

「土地家屋調査士」と「測量士」の違いは上記のようになりますが、では測量を依頼するときはどちらを選んだらいいかわかりませんよね!
1章「土地家屋調査士って何をする人」にも記載しましたが土地家屋調査士は不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家です。

土地の「境界(筆界)」に関する測量は「土地家屋調査士」に依頼しましょう。

6 土地家屋調査士の倫理

土地家屋調査士は弁護士や司法書士といった法律のスペシャリストと同じ法務省管轄の資格であり、業務の性格上、公正・公平が求められる資格です。
倫理においても非常に厳しい倫理規定が定められています。

「土地家屋調査士 倫理規定」はこちらをご覧ください。
https://www.chosashi.or.jp/media/rinri20191212.pdf

土地家屋調査士「倫理綱領」

土地家屋調査士を選ぶ際は、一つの基準として倫理規定を遵守できているかを参考にしましょう。
土地家屋調査士の選び方は「4章 土地家屋調査士の選び方」をご参照ください。

7 まとめ

「土地家屋調査士」とは、不動産の表示に関する登記手続 及び 土地の筆界(境界)を明らかにする専門家

「土地家屋調査士」は「不動産登記法」「民法」といった法律知識と「測量」という技術を駆使して皆様の大切な財産である不動産を価値(安心・安全)あるものにすることを業としている。

「土地家屋調査士」は弁護士や司法書士といった法律のスペシャリストと同じ法務省管轄の資格であり、業務の性格上、公正・公平が求められる資格

「土地家屋調査士」について解説させていただきました。
「土地家屋調査士」という言葉をはじめて聞いたという人もいると思いますが皆様の大切な思い出のつまった財産である不動産を安心・安全な価値にするお手伝いをさせていただいております。

著者も現役の「土地家屋調査士」として業務を行っています。
この記事を書いていて「土地家屋調査士」のハードルを上げているかなと感じることも多々ありましたが「倫理綱領」にも記載のあるとおり「不動産に係る権利の明確化を期し、国民の信頼に応える」が使命ですので書くことにしました。

厳しい倫理規定の中、日々研鑽し公正・公平な立場で業務を行っています。
多くの方に「土地家屋調査士」という存在を知っていただき、皆様の大切な財産である不動産を守れる一助となれれば幸いです。

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