「境界と測量」土地家屋調査士は何を測り、どのように特定するのか!

・突然、土地家屋調査士からお隣の土地の境界を確定させる測量をすると言われたけど、実際どういう測量をするんだろう。
・「確定させる」って、そもそも境界は決まっているのではないだろうか。
・自分の土地を売却するのに不動産屋さんから土地の境界を確定させるために測量をする必要があると言われた・・・。

このような状況にあり、「境界 測量」と検索された方が多いのではないでしょうか?

土地の境界を確定するときには、土地の「境界標」を探して測量していきます

土地の境界標は、必ず入っているものではありません

境界標がない場合は、様々な資料に基づき境界の位置を特定してお隣の所有者の方と確認をして境界標を設置します。

お隣から測量をすると言われた時はどのように測量するのだろう、誰が測量するのだろう等の疑問や不安があって当然だと思います。

この記事では、境界の測量、現況測量、確定測量、境界標の種類と見方、境界の測量を行う土地家屋調査士について解説するほか、「境界 測量」に関する疑問にQ&A形式で回答していきます。

記事を読んでいただき、土地の境界測量について知っていただければ、お隣を測量しているときでも安心していられます。

わかりやすく書いていますので最後まで読んでいただければ幸いです。

 

1 境界の測量とは

境界の測量とは、主に2つの測量があります。
①相続や売買の事前準備として、土地登記簿の面積との差異などを知りたいや建物を新築するので建物の配置をしたい場合などに行う現況測量図を作成するための現況測量

②土地の境界を確定させるために行う土地境界確定測量

次章より順に詳しく説明していきます。

 

2 現況測量図を作成するための現況測量


現況測量図とは現況の地物や構造物など目に見えるものを図面に反映させたものです。

一般的には境界標は、見えているものは測りますが、地中に埋まっているものなどは探しません。(土地家屋調査士法人えんのやり方)

現況測量図を必要とする場合は、下記の2つの場合が多いです。

㋐相続や売買の事前準備として、土地登記簿の面積との差異などを知りたい
㋑建物を新築するので建物の配置をしたい

㋐相続や売買の事前準備として、土地登記簿の面積との差異などを知りたい
最近の売買は、事前に現況面積を把握することが多いです。
一昔前は実測売買ではなく登記簿の面積で売買される所謂「公簿売買」が主流でしたが、登記簿の面積も実際の面積と違うことが多いため「実測売買」が主流になりました。

当然実測面積は「確定測量」を行って「確定面積」で売買されますが、契約前に現況測量を行い大体の面積を把握するために現況測量を行います。

㋑建物を新築するので建物の配置をしたい

上の図面は建築計画の建物の配置図です。

赤線の部分が現況測量図で建築士が現況測量図に建物の位置を配置します。
配置図は、建てたい建物が実際にどのように配置されるのかが記載された図面です。

現況測量図の見方の詳細は「初心者でもわかる!現況測量図の見方を解説」をご参照ください。

 

3 土地境界確定のための土地境界確定測量

境界を確定させる測量を土地境界確定測量と言います。

皆さんのお隣の敷地の角を掘ったり、測ったりしている場合はこの測量をしているケースが多いです。

土地境界確定測量は、測量結果と様々な資料を照らし合わせて境界を特定していきます。
そのために境界標はとても重要な根拠となるものですので徹底的に探します。

境界標は、古いものだと地中に埋まっているケースも多く、これらを探し出すためにブロックを削ったり、穴を掘ったりして境界標を探し出します。

下写真はブロックの中の埋められてしまった境界標です。


土地家屋調査士は、様々な資料を収集し境界標があるかないかを見極めてありそうな場所はこのようにブロックを削ったりして境界標を見えるようにします。

下写真は、地中深くに埋まっている御影石です。
御影石は、御影石は大正~戦後まで多く使われていた境界標ですので、地中に埋まっている場合が多いです。

(近景)


(遠景)

このように境界標を探し出して境界標を測量していきます。

境界の測量はトータルステーションという測量機を使うことが多く、この測量機では角度と距離を計測することができます。

道路などで下写真のような機械を見たことがあると思いますが、これがトータルステーションです。(土地家屋調査士法人えん使用 トプコン製)


さらに詳しく、境界を確定させるための測量、界確定測量の具体的な内容について知りたい場合はこちらも合わせてお読みください。
確定測量とは?なぜ必要なのかについて土地家屋調査士が徹底解説

敷地の角で掘ったり、測ったりしているのは、境界を探したり、測ったりしているのは解ったけど境界標ってどんな種類があってどのように見るのかという疑問が残ると思います。
次項では境界標の種類と見方について解説します。

 

4 境界標の種類と見方

境界標は主に次の5つに分類されます。

①コンクリート杭
②石杭(御影石)
③金属標
④プラスチック杭
⑤金属鋲

多くの方が、下写真のような十字のコンクリート杭が境界標というイメージがあると思いますが、実はほかにもあるのです。

どのように違うのかですが、これは設置場所と大きく関係してきます。

上写真のように地番が土の場合は穴を掘ってコンクリート杭を設置できますが、既にブロックや構造物がある場合は設置することができません。

下写真は、既にブロックが積まれていて、境界点がブロックの中心の場合です。
このような場合には、金属標をボンドで貼り付けます。

ほかにも状況によって境界標を使い分けていきます。

下写真は、道路と敷地の間で設置する場所が非常に狭く、コンクリート杭や金属標が設置できないため金属鋲を設置しました。

境界標には主に5つの種類があることは解説しました。

境界標の形も主に4つの形があります。

①十字
②矢印
③T字
④マイナス

この形の見方を解説します。

①十字
この形は十字の交点が境界点となります。

②矢印
この形は矢印の先端が境界点となります。

③T字
この形は、T字の交点が境界点となります。

④マイナス
この形は、方向を示す境界杭となります。
道路などが未確定の場合などの使用します。

境界標の種類と見方の詳細については、『「境界標の種類」を徹底解説!これであなたも境界標通!』をご参照ください。

 

5 境界の測量は土地家屋調査士が行う

境界の測量は、土地家屋調査士が行います。

もちろん測量士でも境界の測量は問題なくできますが、境界確定後の土地を分ける分筆登記や土地の面積を更正する土地地積更正登記は土地家屋調査士しか代理人になることができないので土地の境界の測量は土地家屋調査士に依頼してください。

土地家屋調査士は、土地家屋調査士法第1条で「土地の筆界を明らかにする業務の専門家」と規定されています。

土地家屋調査士法第1条
土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。

「土地家屋調査士」と「測量士」の違いについての詳細は、「土地家屋調査士と測量士の違いはどこ?両社の視点から徹底解説!」をご参照ください。

「土地家屋調査士」の詳細は、「【土地家屋調査士が解説する】土地家屋調査士とは?」をご参照ください。

6 境界の測量のQ&A

我々土地家屋調査士が、測量現場でお客様からよく聞かれる「境界 測量」についての質問をQ&A形式で下記にまとめてみました。
参考にしてください。

現場でお客様からよく聞かれるQ&A

Q境界の測量にはどのくらいの時間がかかるのか?
A現況測量にように目に見える物を測る測量であれば1日で終了します。
   境界確定測量の場合は、境界標をさがしたり、細かな測量をします。
   一日で測量が終わることはなく、何度か測量をして境界を特定していくので難易度によって1カ月~4カ月ほどかかります。
   土地境界確定の詳細は、「土地の価値を高めるための境界確定のすすめ」をご参照ください。
Q境界の測量にはどのくらい費用がかかるのか?
A測量の費用は面積や、隣接地の数、道路境界確定の有無等で変わってきます。
  境界測量に費用の詳細は、「境界線を測量する費用っていくらなの?土地家屋調査士が解説します」をご参照ください。

 

Q境界の測量はどのように行うのか?
A法務局や官公署に保管されている資料調査を行い、資料に基づいて現地の境界標等探し出して測量します。もちろん境界標がない箇所もあるのでその場合は、構造物等を測量して資料に基づき計算をして境界を特定します。
Q境界の測量にはどのような機器を使うのか?
A使用機器は、土地家屋調査士事務所によって異なりますが、土地家屋調査士法人えんの場合は、基準点はGNSS測量機を使用し、境界点はトータルステーションを使用します。
  GNSSについての詳細は、「GNSS測量を専門家が徹底解説!世界測地系で安心安全な土地へ」をご参照ください。
Q境界の測量をやるにはどのような資格が必要なのか?
A測量の資格は、「土地家屋調査士」と「測量士」があります。
   境界の専門家は土地家屋調査士と土地家屋調査士法第1条でも規定されていますので
   境界の測量は土地家屋調査士に依頼してください。

Q境界の測量は何のために行うのか?
A境界の測量は財産界をはっきりさせるために行います。
  土地境界確定の詳細は、「土地の価値を高めるための境界確定のすすめ」をご参照ください。
Q境界の測量はやらなくてはいけないのか?
A境界の確定測量はやるべきです。
   土地の境界(筆界)はお隣との財産界です。
   相続や売買で土地の境界確定が必要になるケースは多々あります。
   境界確定測量は、時間がかかりますので必要に迫られてやるのではなく事前にやっておいた方が安心です。
Q境界の測量をしたらどうなるのか?
A土地境界確定測量をしたら境界(筆界)の位置を特定できます。
   また、お隣と「筆界確認書」を取り交わせるので相続や売買が必要になっても慌てる必要はありません。
   筆界確認書についての詳細は、「専門家が解説!筆界確認書に署名・押印することの意味」をご参照ください。
Q境界のどこを測量するのか?
A境界標を探して境界標があれば境界標を測ります。
   境界標がない場合は、境界点近傍の構造物等を測り、様々な資料と測量結果を照らし合わせて境界を特定します。

Q境界の測量を断ることはできるのか?
Aお隣の敷地を測量することは断ることはできません。
   境界標を測るのに自分の土地に入らないと測れない場合は拒否することはできますが、自分の土地の財産界でもあるので測量して境界を特定した方がいいです。
   境界の確認の詳細は、「境界の確認の依頼は絶対に受けるべきです!土地家屋調査士が徹底解説」をご参照ください。

Q境界の測量をするメリットは何なのか?
Aお隣の土地との財産界を特定することができます。
Q境界の測量をするデメリットは何なのか?
A知らない人が自宅周りをウロウロされるのが嫌な人は、これがデメリットですが、基本的にデメリットはないと思います。

7 まとめ

 

境界と測量について解説してきました。

「境界」に関する記事では、いつもお伝えしていますが、境界(筆界)はお隣との財産界です。

通帳の金額は、1円単位まで知っている人は多いですが、自身の財産の中で最も高価な土地の境界(筆界)を知らない人は非常に多いです。

現在は、売買には境界確定が条件になっている場合がほとんどですし、相続なので兄弟で土地を分ける分筆登記にも境界確定が絶対条件です。

この記事を読んでいただいた皆さんは、境界と測量の関係について理解していただき、お隣が測量している場合などは協力していただければ幸いです。

また、ご自身の土地に境界標が入っているかなど財産界について意識していただき、ご自身の土地が安心安全な価値になる一助になれば幸いです。

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