新築一戸建の建物表題登記の申請できるタイミングについてまとめ

「まだ建物表題登記は出せません」と言われても、なぜ出せないのか分からないし、いったい、どのタイミングで登記が出せるのか・・・子供の入学式までに登記を終えなければいけないのに・・・

このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか?

建物表題登記の大原則のタイミングは、建物の所有権を取得してから、1か月以内です。

しかし、多くの新築建物は住宅ローンの関係から、最終代金支払い前に、表題登記を申請し、決済(最終代金支払時)までに登記に終えておくというケースがあります。

申請する建物が完成したと判断できるのは、どこまでの内装工事が完了していることが必要なのか、その判断基準は難しいところです。

そこで今回は、表題登記のタイミングとして、原則となるタイミングから、どこまで工事が進捗すれば良いのか、工事途中でも外気分断性、定着性、用途性、の3つの条件は必要となりますので、このあたりも詳しく解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、ぴったりのタイミングでの表題登記を実現してください。

1 建物表題登記の原則となるタイミング


建物表題登記の原則となるタイミングとは、所有権を取得したときから1か月以内です。

「建物の所有権を取得した」とは、どのタイミングを指すのかという疑問が生じます。

建物についての所有権の取得時期は一般的には工事代金を全て支払った時に、所有権を得るのが通例です。大原則としては、全ての工事代金を支払い、鍵の引渡しを受けたときにから1か月以内に申請するのが、大原則のタイミングです。

1か月以内という期間は、下記の通り不動産登記法に規定されていますので、所有権を取得してから、必ず1か月以内に申請してください。

(不動産登記法より一部抜粋)
(建物の表題登記の申請)
第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

 

 

コラム:住民票を移動するタイミング

住民票についてはどのタイミングで転居、転入届出すれば良いのでしょうか。

住民票は生活の本拠を置いている場所のことです。生活の本拠は客観的に判断されますから、生活の本拠を異動させ新築建物で生活を開始した時点から二週間以内に転居、転入届を市町村長へ届出てください。

(住民票には転居、転入日、届出日が記録される)

表題登記前の住民票異動については、その後の住所変更の登記をしなくて済むなどのメリットはあるものの、そもそも生活の本拠が客観的に異動していなければだめですし、専門家へ依頼する場面や融資が絡むケースでは、登記事項や各契約等に影響があることから、独断で判断せず、必ず仲介業者さん、担当司法書士や金融機関担当者などの関係者への連絡や相談をしましょう。

市区町村をまたぐ住所変更の時は、前の市区町村で転出届を提出し転出証明書を取得したりするため、表題登記申請前後で移転させるのは非常にバタバタします。また、住居表示実施区域などでは、新たな建物の住居表示を市区町村に決めてもらう必要があり、これらの手続きには一定程度時間がかかります。

表題登記のスケジュールついても事前に良く確認したうえで、実際に生活の本拠を異動させ、生活を開始した日を転居、転入するのが原則のタイミングですので、転居、転入後に住民票を取得しましょう。

2 工事途中での表題登記のタイミング


工事途中でも、その建物の目的とする用途、居宅(住宅)であれば居宅(住宅)として認定できるだけの工事が進んでいれば、表題登記は申請できます。

大原則では、1章の通り、工事代金の支払いをし、所有権を取得してからということになりますが、新築建売住宅の登記実務や不動産取引実務においては、ローンを利用する方が多いことから、最終代金支払い前までに建物表題登記を終えることが多くなっています。

従って、工事完了終盤のタイミングで、施工会社は工事完了引渡証明書を、施主に、表題登記の為に先行して交付し、建物を便宜引渡し、所有権を取得させ、表題登記を先行して申請することが常態としてあります。

それでは、どこまで工事が進んでいれば、表題登記が申請できるタイミングと言えるのか、詳しく見ていきましょう。

大原則では、1章の通り、工事代金の支払いをし、所有権を取得してからということになりますが、新築建売住宅の登記実務や不動産取引実務においては、ローンを利用する方が多いことから、最終代金支払い前までに建物表題登記を終えることが多くなっています。

従って、工事完了終盤のタイミングで、施工会社は工事完了引渡証明書を、施主に、表題登記の為に先行して交付し、建物を便宜引渡し、所有権を取得させ、表題登記を先行して申請することが常態としてあります。

それでは、どこまで工事が進んでいれば、表題登記が申請できるタイミングと言えるのか、詳しく見ていきましょう。

【申請可能となるタイミング】
建物が完成したと言えるには、不動産登記規則にその規定があり、建物が基礎部分に固定され、屋根及び外壁が出来、建物の目的とする用途として使える状態(住宅であれば住宅として使える状態)になっていることが必要です。

(不動産登記規則より一部抜粋)
(建物)
第百十一条 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。

工事途中でも、以下の3つの条件が揃ったタイミングであれば登記できます。 

①外壁や屋根などが完成し窓や扉などが全て入っている状態(外気分断性)、②土地にコンクリート基礎工事が施されており基礎の上に建物がボルト等で固定され土地と建物が繋がって容易には動かせない状態(定着性)、③建物の目的とする用途、居宅(住宅)であれば居宅(住宅)として認定できるだけの工事が進んでいること(用途性)、これら3つ全てが整っていれば建物表題登記は申請できます。

3つの条件 工事の具体的な進捗状況
外気分断性壁、屋根、窓、扉などで建物内部が外気と分断している
定着性土地と建物が基礎などで固定されている
用途性内装や水回り設備の施工が進んでいる

①外気分断性
不動産登記規則では、「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し」と規定してあります。
これは、建物の外壁が出来、屋根が完全に出来上がっている段階をいいます。工事進捗で言えば、建物を取り囲んでいる足場が取れたタイミングが外壁及び屋根が出来たタイミングです。

こちらの建物は、足場がまだ残ってはいるものの外壁及び屋根が完全に出来上がっており、サッシ及び窓も入っていることから、外気分断性においては、表題登記が申請できるタイミングであると言えます。

②定着性
不動産登記規則では、「土地に定着した建造物」と規定してあります。
これは、建物のコンクリート基礎が出来、基礎と建物がボルト等で固定されている段階をいいます。基礎工事は建物工事の最初の段階で実施されますので、通常の新築建物では①の外気分断性を判定する段階においては、問題なく定着性があると判定できるでしょう。

定着性の部分で問題になりがちなのは、附属建物として離れを建築した場合や簡易な物置を建築した場合に、基礎を作らず、コンクリートブロックなどの上に置いただけのような場合にその定着性が否定されます。

(ブロックの上に置いただけでは定着性は否定され登記できません。)

③用途性
不動産登記規則では、「その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」と規定してあります。
これは、登記実務では、内装工事の進捗状況により、用途性を認めるかどうか判定します。例えば、建物の種類が「居宅」である場合、住宅で生活するには水回りなどの設備が必要ですので、設備の搬入状況により判定することが多いです。2階建の場合には、2階への階段が出来上がっていることが必要ですし、設備の中でも、ユニットバスとキッチンについては比較的早い段階で搬入されますので、これらの住宅用設備が設置されていることが用途性を認定するうえでの一つの基準となります。

ユニットバスやキッチンが設置されていれば、段ボールなどが少々残っていても、用途性は認定できます。

こちらは工事途中のリビングダイニングルームです。まだ床を保護するシートが張られていますが、キッチンが設置されており、天井及びクロスも貼られているため、この段階まで工事が進捗していれば、用途性は認定できます。

2階建の建物は最低限2階への階段が出来ていることが必要です。

コラム:お金を支払っていないのに、なぜ、表題登記を先行して申請するの?

 これには、金融機関のローン実行(融資)と抵当権設定という取引実務が絡んでいます。
 ローンを利用して建物を取得する時に金融機関としては、未回収リスクを極限まで減らすため、融資実行と同時に、同日、所有権保存登記と抵当権設定登記を入れようとします。
 このことから、工事請負代金の残金支払い時、建売住宅の売買の場合では売買代金の残金支払い時にスムーズに抵当権設定登記が行えるよう、事前に建物表題登記を入れるという流れになっていることが多いです。
 これは、表題登記が完了し対象建物の登記簿(登記記録)が作成されていなければ、所有権保存登記、抵当権設定登記も入れられないからです。
 もちろん、工事請負業者(ハウスメーカー)、売主業者によっては、代金の支払いを受けなければ、表題登記に必要な工事完了引渡証明書を出さないという業者もあり、その場合には、金融機関が、建物登記が完了するまでの間(2週間程度)抵当権設定登記を申請出来ない状態のリスクを負うことになります。
 金融機関としては、そのようなハウスメーカー、売主業者の場合は、抵当権設定登記が遅れるリスクも踏まえて融資して良い所有者かどうかを判断することになります。

3 まとめ

 建物表題登記の申請の大原則のタイミングとしては、所有権を取得してから、1か月以内です。

 イレギュラーであるとはいえ、住宅ローンが絡む場面での表題登記の申請するタイミングとして、工事途中で所有権を取得し、申請するケースがあります。
 工事途中でも、①外気分断性、②定着性、③用途性が認められる状態まで工事が進んでいれば、表題登記ができるタイミングです。

 表題登記のタイミングは、新たな生活を開始するうえで、保育園や幼稚園の申請だったり、小学校の学区の判定であったり、子供の入学に関わることも多いですよね。

 是非、本記事を参考にしていただき、最適なタイミングで表題登記を申請し、新生活をスタートさせてください。

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