境界線トラブルの要因と対処法 -お隣りさんと 揉めないために- 

誰しもお隣りさんとのトラブルを抱えながら毎日の生活を送りたくないですよね。

特にお隣りさんの土地との境の位置で揉める境界線トラブルは、お互いの財産に関わる問題なので法廷にまでもつれ、事が大きくなってしまうことも少なくありません。

判決により勝っても負けても法廷で争った人と今後も近所で顔を合わせることになるというのは、何ともバツが悪く精神衛生上良いものではありませんよね。

そういった境界線トラブルの芽を事前に摘み取るためにもその要因と対処法をご紹介します。

安心で平和な毎日を送るため、子供たちに安全な不動産を安心して引き継いでもらうために今から準備しておきましょう。

 

1 境界線トラブルによくある要因と対処法    

 

一言で境界線トラブルと言っても、様々な要因があります。

そして、そんなトラブルにあってしまった時にはどうすれば良いのでしょうか?

対処法とそれにかかる費用と期間についてもあわせてみてみましょう。
(費用と期間については概算ですので、状況等により大きく変わる可能性があります。)

             

 

1-1 筆界についての認識の相違によるトラブル

境界線トラブルの中で最も多いのが、お互いの土地の境についての認識が違うことによるトラブルです。 

お隣りさんとの境界には、筆界と所有権界があります。

筆界=公法上の境界であり、私人間の合意によってのみではその位置を変更することができません。

筆界線を変更するには、分筆登記・合筆登記の申請を法務局に対してしなければなりません。

一方、所有権界はその土地に対し自分の所有権が及ぶ範囲と隣地所有者の所有権が及ぶ範囲の間にある線です。

所有権界=私法上の境界であり、双方の合意によってその位置を変えることができます。 

 

本来「筆界=所有権界」であるべきものですが、実際はそうとも限らず、境界線トラブルとなるのは「所有権界」についての認識の相違によるものがほとんどです。

ポイント!

・境  界 : 筆界 と 所有権界 がある
・筆  界 : 公法上(不動産登記法)の境界、私人間の合意のみでは位置の変更不可
・所有権界 : 私法上(民法)の境界、私人間の合意により位置の変更可

具体的には・・・

悩む主婦

お隣りさんはブロック塀の中心が境界だと言うが、その工事費用は全額ウチでだしたものだから、塀の外側が境界だと生前両親が言っていたのに…

他にも、現地に境界を示す古い境界標があるのに・・・

悩む年配の女性

(私の)父の生前に境界について話し合い、お互いの敷地の使い勝手に合わせて境界線を移動することを互いに了承して塀を設けたとのことだけど、私は何も聞いていない。現地に古い境界の杭もあるのに・・・

お隣りさんが建築確認申請書添付の図面を出してきて、

年配の男性 

これがウチの土地の図面だから、この図面の寸法を確保できなければ、合意はできない。

などなど理由は様々ですが、それまでは良好であったお隣りさんとの関係が境界についての話し合いがもつれて、険悪な関係になってしまった…など

といったことにならないよう、慎重かつ丁寧な対応が必要となります。

それでは、境界認識の相違によるトラブルの対処法とあわせて、それにかかる費用と期間の目安をみていきましょう。

 

対処法1 話し合いによる解決

境界線(ここでは所有権界を指します)についての認識の相違について一番費用も月日もかけずにすむ解決法は、話し合いによる解決です。お互いの言い分や資料を出し合って、冷静に話し合うことで解決できればベストであることは、言うまでもありません。

 

対処法2 専門家に相談

それがかなわなければ、一度土地家屋調査士に相談してみてはいかがでしょうか?
土地家屋調査士は、土地の筆界を明かにする業務の専門家です。筆界を明かにするために法務局や市(区)役所に保管されている資料を徹底的に調査します。現地の境界標やブロック塀等の現況を測量し、それらの資料と測量データを照らし合わせて筆界を導き出します。筆界を明確にすることで筆界の位置で両者の合意が得られれば、筆界=所有権界となります。

・費用の一例:調査測量費 30万~60万円(一般的な100㎡前後の土地、状況により変動します)
・期間目安:1ヶ月~3ヶ月

所有権界で両者が合意し、筆界をその位置に変更するには登記の申請が必要となります。

・費用の一例:調査測量費 30万~60万円(一般的な100㎡前後の土地、状況により変動します)
       分筆登記費 10万~15万円
       所有権移転登記費 10万~15万円(司法書士の費用、登録免許税は土地の価格により変動します)
・期間目安:2ヶ月~4ヶ月

 

対処法3

当事者間の話し合いによる解決が望めない場合は、他の方法としてADR(裁判外紛争解決手続)筆界特定制度の利用や最終的には筆界確定訴訟所有権確定訴訟の提起があります。

①ADR(裁判外紛争解決手続)の利用

筆界・所有権界の問題について、弁護士・土地家屋調査士が当事者の間に入り、調停による解決を目指すものです。 
訴訟に比べ、費用も期間も抑えられますが、相手方が調停に応じてくれなければ、不成立となります。

・費用の一例:20万~50万(*弁護士費用別途、案件や測量範囲により変動します)
・期間目安:3ヶ月~6ヶ月

 

②筆界特定制度の利用

筆界特定登記官が、公法上の境界である筆界の位置を現地において明らかにするものです。
判定材料となる資料が少なければ、特定できないこともあります。

訴訟に比べ、費用も期間も抑えられますが、結果が不服であれば筆界確定訴訟の提起ができ、その判決は筆界特定による結果に優先します。

・費用の一例:30万~180万(*案件や専門家への依頼範囲により変動します)
・期間目安:10ヶ月~1年半

 

③筆界確定訴訟・所有権界確定訴訟の提起

裁判により筆界や所有権界が確定しますが、その判決が下るまでには相当な費用と期間がかかります。

・費用の一例:100万~180万(*案件や専門家への依頼範囲により変動します)
・期間目安:1年半~3年

 

1-2 構造物等の越境トラブル

越境による境界線トラブルも多く見受けられます。

具体的には、

屋根、軒、雨とい等、建物の一部がお隣りさん側に出てしまっている。
ブロック塀が経年により傾き、一部がお隣りさん側に出てしまっている。
③ 境界付近に植えたが成長し、お隣りさん側にが伸びてしまっている。
物置やアンテナ、エアコン室外機を設置した結果、後日越境していることが判明した。

などの事例があります。

また、越境の原因としましては、次のことが考えられます。

・お隣りさんとの筆界がどこかよくわからないまま築造・設置したことにより、当初より越境。
・上記②③の例のように当初は問題なく設置されたものの、年月の経過により後発的に生じた越境。

 

万一、越境を発見してしまった場合は、次のような対応を取ってトラブルを回避しましょう。

対処法1

 ・越境物を移動・撤去する

物置や樹木の枝などご自分で比較的容易に移動・撤去できるものは速やかに移動・撤去し、越境状態を解消しておいて方が良いでしょう。

 

 

対処法2

 ・越境についての覚書を交わす

建物の屋根やブロック塀等は容易に移動・撤去できるものではなく、多額の費用もかかるため、越境についての覚書(将来、建物や塀の建て替えの際にこの越境状態を解消しますので、それまでは受忍して下さいといった内容)を取り交わしておけば安心でしょう。

越境の覚書の取交しにあたっては、境界がハッキリしていることが大前提となりますので、測量が必要となります。

 

・費用の一例:測量調査日 30万~60万
       覚書作成・取交し費用 3万円 / 1件
・期間目安:1ヶ月~3ヶ月

いずれにしても、お隣りさんの土地の測量により自身の越境が判明し、驚くケースも少なくありません。
寝耳に水とならないよう、一度お隣りさんとの境界付近をチェックしてみてはいかがでしょうか。

1-3 境界標がない、工事により亡失したことによるトラブル

建物の建て替えやブロック塀の積み替えの際にその境界標を動かしてしまったり、亡失してしまいトラブルになる事例があります。 

自分の土地の範囲を表す筆界線は目に見えない線です。その筆界線を示す境界標の存在はとても重要なものです。
それらの工事をする際には、工事業者さんに境界標の存在を知らせて注意して作業していただくようお願いしておいた方が良いでしょう。

また、境界標は必ずしも設置されているものではありません。以前にきちんと測量や境界立会いがされたことのない土地ではもともと境界標が存在せず、「この生け垣が境だ」「あの木までがウチの土地だ」といった大雑把な筆界認識により、土地の売却や相続・建物建替えの際にトラブルとして明るみにでるケースも見受けられます。

対処法 

「以前はあったはずの境界標がなくなっていることに気が付いた」、「(もともとない)境界点に境界標を設置して欲しい」といった場合も、土地家屋調査士に御相談下さい。

「このあたりにあった」と適当な所に境界標を設置すると後々問題になる可能性が非常に高いので、必ず測量しお隣りさんに境界点を確認していただいた上で境界標の設置・復元をしましょう。

1-4 お隣りさんと不仲・疎遠であることによりトラブルに発展

 隣地所有者の方に筆界確認のための現地立会いをお願いすることがありますが、筆界とは関係のないところで立会いに応じていただけないことが稀にあります。

「お隣りさんとは昔から色々あり、関わりたくない」
「隣りは兄の土地だが、親の相続の件で話し合いをしている最中で、そちらが解決するまでは協力できない」

境界線トラブルの中でも最も解決が難しいのが、普段からお隣りさんとの関係が良くない全く近所付き合いがないなどの場合です。

対処法

冷静な話し合いによる解決が一番望ましいですが、その話し合いの場にすら着いてもらえない場合は、1-1の対処法3と同様にADR・筆界特定もしくは訴訟による解決を目指します。

 

2 実際にあった境界線トラブル事例

 

<事例1>

Aさんは、親の土地(以下、甲土地)を相続したものの自分は既に別の所に一戸建てを購入しそちらを拠点としているため、相続した土地の売却に伴いお隣りさんに境界確認の依頼をした。

甲土地とお隣りさんの土地(以下、乙土地)の間にはブロック塀が積まれているが、次のとおり境界についての認識に相違があった。

~Aさん主張~

ブロック塀はこちらの費用で積んだものであり、(甲土地からみて)その外側がお隣りさんとの境界だと父親から聞いている。

~お隣りさんの主張~

ブロック塀はお互いのものであり、その真ん中が境界である。

<対応>                   

甲土地及び乙土地について、事前に法務局の管轄出張所にて資料調査を行ったが、土地の境界を示す地積測量図は存在しなかったため、次に市役所へ出向き資料調査を行った結果、分筆申告図(土地の課税のために役所に提出された古い測量図面)を入手した。

甲土地及び乙土地から境界標の探索をした結果、地表から1メートルほど掘ったところに御影石の境界標を発見した。 同境界標は乙土地側(甲土地から見ると塀の外側)に設置されていることを確認した上で、測量を行った。

後日、Aさんとお隣りさん立会いの下、現地測量後の図面と分筆申告図を見てもらいその内容が合致していることを説明し、お隣りさんにも納得してもらい、無事に土地の売却ができた。

上記はうまく話がまとまった事例ですが、時には主張のための資料が十分でなかったり、話し合いの中でお互いに感情的になり物別れに終わることも稀にあります。
そういった場合には、上記のADRや筆界特定制度の利用・筆界確定訴訟の提起などによる解決を目指します。

<事例2>

 Aさんは、亡夫が所有していた土地(以下、甲土地)に自宅(一戸建)を建築し現地は息子家族が住んでいる。
 甲土地の歴史をさかのぼると以前は社宅であり、分筆は昭和30年にされている。法務局や区役所にも寸法の入った図面は存在していなかった。
 昭和40年代に分譲され、亡夫が購入し引っ越してきたが、昭和55年隣地がブロック塀を再構築し越境して築造してきた。過去の記録を見ると亡夫が隣地に対して、再三にわたって塀が越境しており、境界は塀の外側であると申し入れしてきた経緯があるようだが、無視され続け、聞き入れられていないようであった。
 今回改めて、土地家屋調査士へ確定測量の依頼をしたが、越境している隣地(乙土地)側の所有者(Bさん)は、父の代からブロック塀の外側(甲土地からみて内側が境界であると聞いているとの一点張りで境界立会には応じないとのことであった。
 こちらが保有している、購入時の古い販売用の図面の寸法を確認すると、塀の外側が境界であると認識しているが相手方はブロック塀の外側(甲土地からみて内側が境界だと言っている。
 話し合いもできない状態であるため、仕方なく筆界特定を申請した。

 

~Aさん主張~

販売図面を根拠にすると(甲土地からみて)その外側がお隣りさんとの境界

~お隣りさん(Bさん)の主張~

ブロック塀は私の父が敷地内に築造した者で、その外側、(甲土地からみると内側が境界である。

<対応>                   

甲土地及び乙土地について、筆界特定を申請した。
法務局による測量指示のもと、販売図面全体の土地を現況測量をし検証した。さらに、甲土地・乙土地の南北に各数区画づつ、現況測量した。
地番界であり起点となる御影石(=みかげいし、明治大正時代に入れられた古い杭)を探し、ここを起点に南北の土地数区画の現状面積と登記簿の面積を比較し、それぞれの土地が公簿面積に対してどのくらい伸びているか(面積が増えているか)を計算した。

上記の測量及び計算並びに、法務局の最終判断により、ブロック塀の中心筆界として特定された。

この事例のように話し合いがつかない場合には、筆界特定や境界確定訴訟を提起することで、筆界が特定されます。

 

3 境界線トラブルの芽を摘み取る

 土地家屋調査士法人として年間1000人以上の方に筆界確認をしていただいております中で、実際に遭遇した境界線トラブルの一例を御紹介しましたが、当然このようなトラブルはないに越したことはありません。

 次に境界線トラブルを未然に防ぐための方法を御紹介致します。

3-1 境界を明確にしておく

境界線トラブルを防ぐには、境界線を明確にしておくことが最も大事です。境界線を明確にするには確定測量が必要となります。
この確定測量では全てのお隣りさんに現地で立会っていただき、境界の確認をしていただきます。
境界標がない境界点にはそれを設置した上で、筆界確認書の取り交しをします。

全ての作業が完了するまで、隣接地所有者さんの人数等にもよりますが、通常1ヶ月半から3ヶ月かかります。 

契約済みの土地の売却や相続には期限がありますが、立会いの段階でトラブルが発覚すると更に時間がかかり、その期限に間に合わなくなることがあります。

一方で事前に準備をしておけば、より買い受け条件の良い買主さんをじっくりを探すことができたり、相続の際にはお子様たちへのバトンタッチを安心かつスムーズに行うことができます。

境界はお互いのものですが、依頼主さんの費用負担でその確認をして現地に境界標を設置し、書面に残しておくことはお隣りさんにとってもメリットとなります。

ですから、事(土地の売却や相続)が起きる前に準備(境界確認)しておくことは、不動産を管理する上でとても重要なことです。

「備えあれば、憂いなし」です。

3-2 普段からお隣りさんとコミュニケーションをとる

確定測量には、現地での立会いや筆界確認書の取り交わしなど、お隣りさんの御協力が不可欠です。
普段から御近所付き合いのあるお宅では、現地での立会いから筆界確認書の取り交わしまでがとてもスムーズに進みます。

 ・お隣りさんと会った時には笑顔で挨拶する

 ・世間話をするなどし、コミュニケーションをとる

 ・地域のイベントに参加する

 などして、いざという時に協力し合えるように、ご近所さんとは普段から良い関係を築いておきたいものですね。

 

4 まとめ

 

御紹介したような境界トラブルが発生する割合は、実感としては全体の1割にも満たないでしょうか。 

しかしながらそれは、他人事ではなく、土地を所有している限りは誰にでも起こり得ることであるのも事実です。

筆界確定訴訟所有権界確定訴訟までもつれると、多額の費用と時間、そして何より莫大な労力が必要となります。

そういったことにならぬよう、お隣りさんとの関係が良好な内に境界について話し合い筆界確認書の取交しをしておくことを強くお勧めします。

測量費も決して安くはないかもしれません。

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