
「相続税対策は、顧問税理士と何度もシミュレーションを重ねた。
納税資金の確保も、遺言書の準備も万全だ」
もし今、あなたがそのようにお考えであれば、私は「土地を守る専門家」として、あえて一つだけ問いかけさせてください。
「その対策の中に、『土地の境界確定』は含まれていますか?」
金融資産や自社株の評価には細心の注意を払う一方で、資産の大部分を占めるはずの「土地」そのものの境界確定がおろそかになっているケースは、驚くほど多いのです。
土地の境界が曖昧なまま放置されている状態。
それは、平穏な日常の下に隠された「時限爆弾」のようなものです。
相続という引き金が引かれた瞬間、その爆弾は「親族間の争い」、「納税の失敗」という形で爆発し、残されたご家族を苦しめることになります。
今回は、数多くの資産家様の土地問題に向き合ってきた土地家屋調査士法人えんの視点から、なぜ今「生前測量」が富裕層にとって必須の教養なのか、そして次世代へ「最高の状態」で資産を引き継ぐための具体的な道筋を、徹底的に解説します。
目次
1. なぜ、あなたの土地の境界は「未確定」なのか

まず、日本の土地制度における根深い問題について触れておきましょう。
「うちは代々続く土地で、塀もしっかりある。境界が分からないはずがない」 多くの所有者様がそう仰います。
しかし、現実はそう単純ではありません。
明治時代の地図がまだ使われている現実
法務局に備え付けられている「公図(地図)」をご存知でしょうか。
実は、日本の多くの地域で使われている公図は、明治時代の「地租改正」の際に作られたものがベースになっています。
当時の測量技術は現在とは比べ物にならない未熟(縄や歩測による計測)なものでした。
その結果、公図上の形状と、現地の実際の形状が全く異なるということが、日常的に起きています。
「ブロック塀」は境界ではない
よくある誤解が「ブロック塀=境界線」という認識です。
しかし、公法上の境界(筆界)は、目に見える構造物とは必ずしも一致しません。
- 「境界をよく調べずお隣との話し合いだけで、内側に塀を積んだ」
- 「昔の施工ミスで、塀が越境している」
- 「お互いに自分の敷地だと思って使っていた場所が、実は相手の土地だった」
こうしたズレは、所有者同士が元気なうちは「阿吽の呼吸」で問題になりません。
しかし、それが明文化されていない限り、法的な効力は何もないのです。
この「見えないズレ」こそが、相続時に爆発する火種となります。
未確定の土地について詳しくお知りになりたい方は、「『筆界未定地で売却できない』を解消~土地家屋調査士が示す対処法~」をご参照ください。
2. 境界未確定が引き起こす「3つの致命的な爆発」

では、境界が未確定のまま相続が発生すると、具体的にどのような事態に陥るのでしょうか。富裕層の皆様にとって、特にダメージの大きい3つのリスクをご紹介します。
リスク①:資産の「流動性」が完全に失われる(売れない)
相続税の納税期限は、相続開始を知った日から10ヶ月以内です。
現金での納付が難しい場合、土地の一部を売却して納税資金に充てようと考えるのは自然な流れです。ただし土地の一部を売却するためには土地分筆登記が必要になり、前提となる隣接地との境界確認が必須です。
しかし、現代の不動産取引、特に富裕層が所有するような高額な土地や広大な土地の取引において、「確定測量図(筆界確認書)」のない土地は、売買が難しくなる可能性があります。
買い手となる不動産会社やデベロッパーは、境界紛争のリスクを極端に嫌うからです。(境界確定ができていないと将来の分譲販売用に分筆登記が出来ないリスクが生じます)
「相続が起きてから測量すればいい」と思われるかもしれませんが、測量と境界確定には通常3ヶ月~半年、隣地との調整が難航すれば1年以上かかることも珍しくありません。
その間、土地は「売るに売れない塩漬け資産」となり、納税期限だけが無情に迫ってくることになります。
リスク②:「物納」という切り札が使えない
延納(分割払い)でも金銭納付が困難な場合、土地そのもので税金を納める「物納」という制度があります。
しかし、国(財務省)が物納を受け入れる条件として、「境界が確定しており、測量図があること」が厳格に求められます。
隣地との筆界確認書が1枚足りないだけで、物納申請は却下されます。
数億円規模の相続税がかかる資産家様にとって、この「伝家の宝刀」が抜けないことは、破産すら招きかねない致命傷となります。
リスク③:隣人関係の崩壊と「争族」
「お隣とは仲が良いから大丈夫」 その言葉は、あくまで「あなたとお隣の当主様」の間だけで通用するものです。
相続のタイミングで、お隣も代替わりしていたらどうでしょうか?
あるいは、お隣の土地が売却され、権利を主張する不動産業者や、全く面識のない第三者が所有者になっていたら?
Aさん:「亡くなった先代からは、ここはウチの庭だと聞いています」
Bさん:「いや、図面上ではこちらの土地です」
感情論と権利主張がぶつかり合い、解決のために弁護士を入れざるを得なくなる。
かつて挨拶を交わしていたお隣と、法廷で争うことになる。
これはドラマの話ではなく、私たちが現場で何度も目にしてきた悲しい現実です。
3. 富裕層特有の事情:「認知症」というタイムリミット

ここまでは「土地」のリスクをお話ししましたが、もう一つ、忘れてはならないのが「人」のリスクです。
境界確定測量を行う際、最も重要なプロセスは「隣地所有者との立会い」です。
現地で境界を確認し、お互いに納得した上で「筆界確認書」に署名・捺印します。
ここで重要になるのが「意思能力」です。
もし、あなたご自身、あるいは隣地の所有者様が認知症を発症し、意思能力が不十分であると判断された場合、どうなるでしょうか?
法的に有効な署名捺印ができなくなるため、成年後見人を選任しなければならなくなります。
成年後見人の選任には家庭裁判所への申し立てが必要で、数ヶ月の時間を要します。また、後見人は「本人の財産を守ること」が使命ですから、少しでも本人に不利益(土地が減るなど)になるような境界確認には、極めて慎重になります。
つまり、話がまとまらなくなるのです。
「お互いが元気で、判断能力がはっきりしているうち」 これこそが、測量を行うことができる唯一の期間であり、決して先送りにしてはいけない最大の理由です。
4. 生前測量がもたらす「莫大な経済的メリット」

リスク回避の話ばかりしてきましたが、ポジティブな側面にも目を向けましょう。
生前に測量を行い、土地を正しい面積で登記(地積更正登記)することは、資産防衛において大きなメリットを生み出します。
土地評価の適正化による節税
相続税の計算において、土地の評価額は「面積 × 路線価」が基本となります。 もし、登記簿上の面積が実際よりも大きかった場合(「縄伸び」と言います)、本来支払う必要のない税金まで支払うことになります。
正確に測量を行い、正しい面積(小さい面積)に登記を直しておくことで、相続税評価額を下げ、数百万円から数千万円単位の節税に繋がるケースがあります。
「不整形地」や「広大地」の評価減を確実に
ただ面積を測るだけではありません。
正確な測量図を作成することで、その土地がいかに使いにくい形か(不整形地)、あるいは広すぎて開発が難しいか(地積規模の大きな宅地の評価)を、税務署に対して客観的に証明することができます。
税理士の先生が土地評価を行う際も、精度の高い測量図があることで、ギリギリまで評価を下げるための根拠資料として活用できるのです。
生前測量について詳しくお知りになりたい方は「土地家屋調査士が教える!親が亡くなる前にやっておきたい測量・登記の相続対策20」をご参照ください。
5. 次世代に「最高の状態」で引き継ぐためのステップ

では、具体的にどのように進めればよいのでしょうか。
私たち「土地家屋調査士法人えん」が推奨する、資産価値を高めるためのステップをご紹介します。
Step 1:資料調査と測量(現状を知る)
まずは、法務局や役所で資料を洗い出し、現在の土地の状況を測量します。
「登記簿と実際の面積にどれくらいのズレがあるか」 「隣地からの越境物(屋根や配管など)はないか」 この段階で、潜在的な問題点をすべて洗い出します。
これは、土地の健康診断のようなものです。
Step 2:境界立会いと確認(問題を解決する)
隣接する全ての土地所有者様(道路を管理する役所を含む)と現地で立ち会い、筆界を確認します。
もし意見の相違があっても、私たち専門家が間に入り、過去の資料や慣習、客観的な証拠を基に、双方が納得できる着地点を見つけ出します。
この「調整力」こそが、土地家屋調査士の腕の見せ所です。
Step 3:永続的な境界標の設置(未来へ残す)
確認した点には、コンクリート杭などの「永久標識」を設置します。
さらに、近年の測量では「世界測地系」という公共座標(GPS等)を持たせた測量を行います。これにより、万が一地震や災害で杭が飛んでしまっても、数値データに基づいてミリ単位で元の位置を復元することが可能になります。
これこそが、最強の「土地の守り」です。
Step 4:地積更正登記と成果簿の作成(価値を固定する)
確定した地積を法務局に登記し、公的な記録として残します。
そして、作成した「確定図(確定測量図)」「筆界確認書」「登記成果」などを一冊のファイルにまとめ、お子様へ引き継ぎます。
このファイルがあるだけで、お子様は相続発生後、即座に売却活動や納税手続きに入ることができるのです。
境界確定について詳しくお知りになりたい方は、「土地の価値を高めるための境界確定のすすめ」をご参照ください。
6. 土地家屋調査士法人えんが選ばれる理由

相続対策としての測量は、単に機械で長さを測れば良いというものではありません。 そこには、関わる人々の「感情」と、土地に刻まれた「歴史」への深い理解が必要です。
私たち「土地家屋調査士法人えん」は、以下の3つの強みで、富裕層の皆様の資産承継をサポートしています。
1. 高度な専門性とチーム力
難易度の高い案件や、広大な土地の測量において豊富な実績があります。
また、社内での多重チェック体制により、1mmのミスも許さない品質管理を徹底しています。
2. 多くの土地家屋調査士が在籍している
一般的な個人事務所では対応が難しい広大な土地や、相続税申告の期限が迫っている緊急案件もお任せください。
えんには業界でも数少ない「土地家屋調査士が主体の法人」として多数の有資格者が在籍しており、案件ごとに最適なチームを編成してスピーディーに対応可能です。
また、一人の判断に頼らず、複数の専門家による厳格な「クロスチェック体制」を敷くことで、お客様の大切な資産を預かるにふさわしい、絶対的な正確性を担保しています。
3. 「心」ある交渉力
隣地の方々へのご挨拶から、立会い時の細やかな配慮まで。
お客様の代理人として、良好な近隣関係を維持・向上させることを第一に考えたコミュニケーションを徹底しています。
「えんさんに任せてよかった、お隣ともスッキリしたよ」と言っていただくことが、私たちの最大の喜びです。
7. まとめ:それは、愛する家族への「最後の贈り物」

相続対策というと、どうしても「節税」や「分割」といった数字の話になりがちです。
しかし、本当の相続対策とは、「家族が揉める火種を、自分の代で完全に消し去ること」ではないでしょうか。
綺麗な確定測量図と、四隅にしっかりと入った境界標。
それは一見、無機質なものに見えるかもしれません。
しかし、それは「子供たちに苦労をかけたくない」「この土地で幸せに暮らしてほしい」という、両親の深い愛情そのものです。
未確定の境界という「時限爆弾」の針を止められるのは、今の所有者であるあなただけです。
お子様たちが、悲しみの中で土地トラブルに巻き込まれることのないよう、今、動き出しませんか?
「うちの土地は大丈夫だろうか?」 「まずは話だけでも聞いてみたい」
少しでもそう思われたなら、ぜひ一度、土地家屋調査士法人えんへご相談ください。 あなたの土地の歴史を紐解き、未来へつなぐ架け橋となることをお約束します。



