相続登記をしないで滅失登記をして時間短縮|登記費用も節約しよう

相続した建物を取壊ししたものの、相続登記をしないで滅失登記はできるのか、登記手続きであれば、きちんと相続登記をしなければいけないのではないか。

このように疑問をお持ちの方も多いと思います。

相続した建物を取壊した場合、相続登記をしないで滅失登記はできます。例えば、遺産分割協議がされておらず、相続人が何十人何百人といるケースでもその相続登記を省略して相続人の全員ではなく、相続人であれば誰でも一人で申請できます

既に取壊しされている建物であれば、相続対象となる建物が既に無いため相続登記をする必要がなく、戸籍調査などを行い、相続人の一人から申請すれば良いのです。
相続登記には相続人全員の戸籍が必要ですので、相続人の一人から申請できるのであればかなりの時間短縮になりますし、費用も節約できますね。

本記事では、相続した建物を取壊した方向けにその後の滅失登記について、滅失登記の専門家である土地家屋調査士が詳しく解説していきます。

是非最後まで目を通していただき、相続登記しないで滅失登記を完了させてください。

1 相続登記をしないで滅失登記する方法とは

相続登記をしないで滅失登記する方法は、相続人の一人から登記を行うことができます。
不動産登記法には相続人から申請することができると規定されているからです。

不動産登記法では下記のように規定されています。

(一般承継人による申請)
第三十条 表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。

このように、滅失登記は表示に関する登記ですから、相続人は申請をすることができます。単純に考えると、解体して現に存在しない建物について、権利は存在し得ないため、相続登記をする意味はないと考えられます。
事情があって手続きとして相続登記をすることがある場合もあるかもしれませんが、特段争いなどがなく、単純に滅失登記したい場合は相続登記をしないで滅失登記をするということで良いでしょう。
それでは、具体的に相続人から相続登記をしないで滅失登記をする方法をみてみましょう。

2 相続人から滅失登記するSTEP

相続人から滅失登記する方法を簡単に下記STEPにまとめましたので、確認してください。

3 相続人から滅失登記する際の注意点

相続人から滅失登記する際の注意点は以下のポイントに注意して申請します。
集める書類が通常の滅失登記に比べて多くなりますので、特に書類ついては注意していきましょう。
それでは一つづつ見ていきましょう。

3-1 申請建物の確認

申請建物の確認をします。家屋番号や建物図面、公図などで建物が存在していた位置を特定します。
単純で当たり前のことですが、滅失すべき建物を間違えないようにしてください。
建物を1棟しか所有していなければ、それほど問題にはならないですが、広い敷地で複数棟同一名義の建物を所有している場合は、特に間違えやすいですから注意してください。

古い建物図面も無い建物がいくつもあったような場合、実際に建物が無くなればどこにどの建物が建っていたのかが分からなくなります。
これは、通常の滅失登記でも同じことですが、基本的なことですので確実に押さえて調査しましょう。

3-2 戸籍収集の範囲のポイント

戸籍収集の範囲のポイントは、一般的な相続登記で必要になる亡くなった方の生まれてからなくなるまで全ての戸籍を集める必要が無いということです。
また、相続人候補者全員の戸籍も必要はありません。申請は一人からできますので、亡くなった登記名義人の方と相続人とが相続関係にあることが分かる範囲のもので十分だからです。
余分な戸籍を取得する費用はありませんので、ポイントを押さえて戸籍調査をしましょう。

3-3 登記記録の住所地と亡くなった方の最後の住所地の確認

登記記録の住所地と亡くなった方の最後の住所地が一致するのかを確認します。
登記記録には住所が記載されていますので、住民票の除票などにより亡くなったかたの最後の住所地と登記上の住所が一致するかを確認します。

住所変更の登記をしないまま、何度か転居を繰り返している場合は戸籍の附票などを取得してみてください。

それでも保存期間の経過などにより繋がりがとれない時には、建物の登記済権利証などを法務局に提出する場合があります。

なお申請人の方の住所も確認のため住民票を取得して、申請情報を住民票通り記載する必要がありますので、戸籍調査の際に、まとめて住所関係の調査も行うと良いでしょう。


通常のパターンの滅失登記についての詳しい解説は下記を参考にしてください。

「建物滅失登記」とは?大切なポイントを土地家屋調査士が解説します

4 相続人から滅失登記する費用とスケジュール

自分で申請するには上記のような注意点があります。
専門家に依頼するには

【自分で申請した場合の費用】
滅失登記に登録免許税(法務局へ支払う費用)はかかりません。0円です。
戸籍や住民票などを取得する費用、調査や法務局に出向く交通費、書類作成にかかる紙代印刷代などが実費としてかかってきます。
【土地家屋調査士の費用】
滅失登記についての専門家である土地家屋調査士へ依頼した場合の費用相場は8万円~+税+戸籍調査実費です。
スケジュールとしては、土地家屋調査士へ依頼した場合で滅失登記申請から概ね2週間前後で完了します。
自分で申請した場合は、法務局が現地調査を行いますので+1~2週間程度みておく必要があります。

戸籍調査が多いと収集に時間がかかります。
本籍地が他県で遠くであれば、郵送でのやり取りとなり、戸籍を集めるだけで2~3カ月かかってしまったなどとうこともあり得ますので、戸籍収集は早めに行いましょう。

(相続人から滅失登記する費用とスケジュールのまとめ)

通常のパターンの滅失登記の費用についての詳しい解説は下記を参考にしてください。
建物滅失登記の費用っていくらなの?依頼先や費用相場について解説

5 相続人から滅失登記する手続きの専門家の選び方

相続人から滅失登記する手続きを専門家に依頼する場合は、土地家屋調査士に依頼します。
相続人から滅失登記する手続きを専門家へ依頼する時のポイントは、事務所の近さや安さだけで選ぶことなく、親身になって相談に乗ってくれるなど、信頼のできる事務所を選ぶことです。
依頼先は、土地家屋調査士法人、土地家屋調査士です。
土地家屋調査士は不動産の表示に関する登記及び筆界に関する専門家で、相続人から滅失登記する手続きの代理ができるのは土地家屋調査士です。
相続人から滅失登記する手続きを実施するには、戸籍などの確認ができる必要があり、書類を確実に収集し資料を確認したうえで相続人から滅失登記する手続きを実行する必要があります。
したがって、依頼する時は、下記のようなポイントをしっかり確認しましょう。

良い選び方
1.信頼できる
2.親身になって相談してくれる
3.見積額、注意点を示してくれる
悪い選び方
1.事務所が近いことだけで選ぶ
2.費用が安いことだけで選ぶ
3.適当に選ぶ

6 まとめ

相続登記をしないで滅失登記をするメリットをもう一度確認しましょう。

①:時間短縮 ⇒ 戸籍収集の時間、相続登記の時間を短縮
②:費用節約 ⇒ 相続登記をする必要が無いためその費用がかからない

この2つのメリットを掛け合わせたものが、滅失登記をしないで相続登記をする最大のメリットです。

以下の流れとポイントを押さえて調査、申請を行いましょう。


時間の無い方、書類収集や書類作成に抵抗のある方にとってはハードルの高い登記申請ですから、専門家である土地家屋調査士へ依頼することも検討しましょう。

ぜひ本記事を参考に、滅失登記をしないで相続登記を実践してみてください。

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