【実例】気をつけよう!相続登記と建物滅失登記と課税台帳

行政が発行している課税台帳は、絶対に正しいと思っていませんか?

当然ですが、行政も現地を確認していると思うので、間違っていることが少ないです。

しかし、土地をたくさんお持ちの方の場合で貸家等を建てていた場合(同じ面積の建物がたくさんあった場合)などでは、どの建物が現存していて、どの建物が取り壊されているか判断しにくい場合もあります。

今回もこのような(下記のような)ケースで、実際に課税台帳が間違っていた事例です。

・母親が亡くなり相続が発生した
・30年前に亡くなった父親名義の建物の登記が複数残っていた
・過去に同じような貸家が同じ土地上に数棟建っていた(現存する建物もある)

この間違っていた課税台帳をもとに相続登記をした関係で既に取り壊されていた建物を相続人の名義に変更してしまい、その後に弊社に建物滅失登記の依頼があり発覚した事例です。
今回のケースも先に土地家屋調査士が現地を確認して現存している建物と取り壊されている建物を把握し、その後に相続登記を行っていれば防げた間違いです。

土地家屋調査士は、現場主義なので実際に現地に行き、資料等と照らし合わせて建物を特定していきますのでこのような間違いはおこりません。

今の日本は、少子高齢化で相続の件数が右肩上がりに増えてきています。
また、2024年4月から相続登記も義務化されます。
益々このようなことも増えてくると思います。

建物滅失登記に限りませんが、全ての相続が安心・安全な相続になるために士業間の連携は不可欠だと思います。

この記事を読んでいただいた士業の方と連携が取れれば幸いです。

 

1、実際にあった!課税台帳の間違いによる相続登記と建物滅失登記

相続が発生し、既に取り壊されている建物と現存する建物がある場合は、土地家屋調査士に依頼して建物の特定をするべきです。

土地家屋調査士は、現場主義なので現地を確認して現存する建物と取り壊されている建物を特定することができます。

この記事の実例は下記のようになります。

 

お父様の相続の時からのお付き合いのある方からお母様が亡くなったので土地の一部を売却するために分筆登記を依頼された。

その土地は、現在はアパートの駐車場として利用されている1000㎡以上ある土地で数棟の貸家が建っている。

 

 

土地の分筆登記の依頼だったので境界確定業務を行い、分筆ラインを打ち合わせ、分筆登記の準備をした。
分筆登記の申請のために相続人の自宅を訪問した時に土地上には数棟の建物の登記があり、現存する建物は相続登記が終わっているので、過去に取り壊されていて登記の残っている建物の滅失登記をして欲しいとの依頼を受けた。

相続登記をした時の資料を受け取り、事務所に戻り資料調査をし、数日後に現地調査と相続人の聞き取りをした結果、課税台帳に記載されている建物の一つが取り壊されていて、現存する建物が課税されていない事実が判明した。

現存する建物も取り壊されている建物も同じ貸家で同じ床面積のため課税価格は変わらないが、課税台帳を元に相続登記をしたため取り壊されている建物を相続人の名義に登記してしまっていた。

土地家屋調査士は、現場主義なのでいくら課税台帳に記載されていたとしても取り壊されている建物を残し、現存している建物を滅失登記する訳にはいかないので現状にあった登記を申請し完了させた。

その後、司法書士により相続登記していない建物を登記して、課税台帳の間違いを行政に連絡して業務を完了した。

相続の際の建物滅失登記について詳しくお知りになりたい方は、「相続登記をしないで建物滅失登記をして時間短縮、登記費用も節約しよう」をご参照ください。

2、順番は、建物滅失登記後に相続登記

記事の事例のような場合、登記の順番を建物滅失登記を先に行い、完了後に相続登記をすればミスを防げます。

1章でも記載しましたが、土地家屋調査士は現地主義なので必ず現地を確認して登記を行います。

そのため課税台帳が間違っていたとしても、その内容に関係なく正しい登記をすることができます。

大きな土地で過去に複数の建物があり、取り壊されている建物と現存する建物の特定が難しい場合は最初に土地家屋調査士にご依頼ください。

3、まとめ 

 

今回は、実例を記事にしました。

実際、多くあるようなことではありません。
しかし、実際に起こった事例ですので登記の順序を提案させていただきました。

もちろん先に相続登記をやってはいけないというわけではありませんが、今回の事例のように建物の特定が難しい場合は、現状を把握できる土地家屋調査士が先に申請した方が確実な登記ができるはずです。

記事の書き出しでも記載しましたが、現在の日本は少子高齢化が進み相続が増えてきています。

各士業には、特徴があり得意な分野と苦手な分野があります。
だからこそ士業の連携が必要だと考えています。

この記事が、お客様の大切な不動産を安心・安全な価値にする一助になれば幸いです。

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